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散策 [旅景]



 どこへ行くのか、
 また、どこまで行くのか決めないまま、
 とある休日の朝、最寄りの駅から始発電車に乗りました。
 予報では天気は良好、
 訪れた先で写真を撮りながら散策をしようという計画です。
 
 電車に乗ること約三時間半、
 この数年で何度か訪れたことのある、
 とある町の駅に降り立ったのが九時。
 地図などなくても思うまま歩く事が出来る町、
 天気の良さが何より心強くしてくれます。 

 今日の写真は旅先での散策において、
 ブログ用にデジカメで撮影した写真を、
 単純に撮影順に並べてみました。
 少し枚数が多いのですがしばらくお付き合い下さい。




〔01〕
 駅から歩いて十五分ほどの裏通り、
 行けば必ず入り込む道。
 平行した一本隣の道は観光客がたくさんいる通り、
 いつも脇に逸れて歩く。
 よそ行きではない町の素顔を
 伺うことが出来る裏道を彷徨うのが好み。





〔02〕
 一枚目の写真の看板左下に写る店の勝手口、
 少し差し込んだ光に浮き上がる緑。  
 諸処に緑を配置する家人の心、
 優しさとゆとりを感じます。





〔03〕
 同じく一枚目の写真の看板を潜った先の店、
 光と空気、そして空の色も申し分の無い日でした。
 こんな日は何を撮っても絵になってしまいます。





〔04〕
 幅一メートルほどの細い道に切れ込みます。
 自分の背丈を超えた塀の上の世界。
 瓦と蔵の壁が青い空に映えます。
 どちらも土から出来た建築素材、
 現代建築とは違い、
 どことなくやわらかな感覚を与えてくれます。





〔05〕
 古い看板には味があります。
 三味線の枹のような形をしています。
 その上の装飾も凝っています。
 手間暇を惜しまない、
 手間暇を掛けることに心意気を見せる、
 古くに生きた日本人の心が偲ばれます。 





〔06〕
 気に入ったのはこの玄関の建具の装飾。
 半円形の欄間に施された絵が素敵です。
 外観ばかりではなく、
 この玄関の外から見える建物内部の意匠にも
 趣があることを伺い知ることが出来ます。
 「まちづくり相談室」とあるこの洋館風の建物は、
 古き建物を事務所にしている建築設計事務所でした。





〔07〕
 裏町の通りを突き抜け川の端に出ました。
 対岸左手に大きな墓地を携えた寺を見付けました。
 寺院の趣きが好きなので、
 橋を渡り境内の入り口にある門を目指して歩きます。
 道端に比較的新しい石仏が居られました。
 透き通った光の中、
 まるでこの世を見つめているよう座っておられます。
 仏様の眼差しと合わせるよう、
 背中からそっと写真を撮らせていただきました。





〔08〕
 境内の百日紅には白い花を纏っていました。
 澄み切った青い空を背景に、
 葉の隙間に太陽を配し、
 透ける白い花びらを撮りました。
 




〔09〕
 たっぷりと二時間ほど緩やかに歩きました。
 そろそろ腹の減り具合もよろしくなって来ました。
 どうしても食べ物屋の前では
 目が釘付けとなり嗅覚を擽られます。
 散策の途中で目星を付けた蕎麦屋の開店は十一時半、
 もう少し歩かなければなりません。





〔10〕
 本当に空は青く、
 空気も澄み切っていたので、
 透過光に浮き立つ葉の緑は、
 こうした町中の雑踏の中にあっても
 鮮やかに見えてきます。
 気持ちが爽やかになります。
 




〔11〕
 小さな祠のある神社。
 道を逸れずにはいられません。
 ファインダーを覗くと鳥居に添えられた社名の額が、
 逆光に黒く潰れました。
 この写真、自分に取って新しい感覚です。
 良い発想を頂きました。





〔12〕
 この店構え、この雰囲気。
 二時間ほど前にも通りましたが、
 光が上手く店先に当たっていなかったので、
 再び訪れ写真に収めました。
 今日はここでは食事をしません。
 新しく見付けた店に行く予定、
 もう少しだけ歩きます。
 




〔13〕
 街角の古い郵便ポスト、
 ポストの赤が主役ですが、
 背景の自販機と進入禁止の標識、
 その赤い色が気になったので、
 そっと画面の隅に置きました。
  




〔14〕
 散策最後の写真。
 簡潔で美しい窓の装飾、
 そして整った意匠が
 清浄な空気の中に映えます。
 足を止めて撮らずにはいられない建物です。
 
 さて十一時半、
 この建物にほど近い新しい蕎麦屋に駆け込みます。
 地麦酒を飲み干し喉を潤します。
 少し歩き疲れ、
 食い意地が張っていた為、
 麦酒や蕎麦の写真を撮るのを忘れました。



 九月十五日 土曜日。
 旅の目的はリバーサルフィルムで写真を撮ることでした。
 35ミリの一眼レフ一台と
 単焦点レンズの25ミリと85ミリの2本を持ち、
 後はブログ用にデジタルカメラを一台鞄に詰め込みました。
 見慣れていない町を、
 こうして一人で気ままに写真を撮りながら散策する。
 二週続けて贅沢な時間を得ることができました。
 リバーサルフィルムの現像仕上がりが楽しみですが、
 手応えが無いのが正直なところ。
 それでも楽しい旅と散策でした。
 それだけで満足しています。


nice!(28)  コメント(17) 
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コメント 17

こういう散策、たのしいですね。
by (2007-09-22 21:29) 

marcy

私が住んでいるところは街自体が新しく、
古き佳きものを探すには車が必要です。
美瑛に行けばそれこそ車なしでは回れぬ広さ。
こういう散策撮影に非常に憧れます。
そして天気の良い日のアンダーの色の濃さ。
これが実に良いですね。
by marcy (2007-09-22 21:58) 

kurocame

ぶらりカメラ旅にはもってこいの街ですね〜
深い空が印象的です。「軽食堂ブンブク」、気になります〜(笑)
by kurocame (2007-09-23 02:03) 

miku

お散歩、楽しいですよね。
百日紅、きれいです。
by miku (2007-09-23 02:11) 

BPノスタルジックカーショー

おはようございます。

すぐに判りました!!
私が生まれて育った、いや今も住んでいる「松本」ですね。
こうしてみると・・・・
これだけ見る目で違うことがわかりました。
今度、私もチャレンジしてみます。
by BPノスタルジックカーショー (2007-09-23 08:09) 

ハイマン

ポストはやっぱりこれじゃなきゃね!
by ハイマン (2007-09-23 08:33) 

salty

こういう味の写真ってはともすれば軽薄になりがち。なのを実にしっくりと捕らえておられますね。
by salty (2007-09-23 10:20) 

下町の風情がソソルなぁ
by (2007-09-23 12:06) 

Kenny

リバーサルでの写真も楽しみですね
このところ ゆっくりおじゃまする時間がありませんでした
やっと これまでの分もゆっくりと見させて頂きました
by Kenny (2007-09-23 16:30) 

Merche

古き良き時代の手間ひまかかる作業・・・、
しかしそこにはちゃんと会話やこころがあったのでしょうね。
決して忘れてはいけないことですよね。
by Merche (2007-09-23 20:22) 

エア

満足された旅・心がしなやかになりますね。
by エア (2007-09-23 20:39) 

*ぴあの*

レトロな町並みが、とてもいいですね~♪^^
by *ぴあの* (2007-09-24 05:21) 

静かな、本当に静かで穏やかな空気が写真を通して伝わってきました。赤いポスト、懐かしいです~~~!
by (2007-09-24 15:39) 

やはり高地の町の空気ですね。
これは気持ちよさそうだ、楽しそうだ~。
by (2007-09-24 21:45) 

あてどなくブラリと散歩、いいですね!
いつも違う景色と、ちょっとばかりの好奇心がはたらいて・・・
でもそこにはちゃんと生活があって。
僕が写真を撮りたいと思った一つのきっかけでした。
アクセントの利いた赤ポストが嬉しいです!^^)
by (2007-09-25 11:31) 

y*

こんにちは^^1枚目私も裏道へ入って行くほうです^^
でも一人でフラフラしてると結構奇異な目で見られてしまう…><
男性もそういうことあるのかな…?
7枚目寂光さんの気持ちが伝わってくる素敵な写真だと思いました
見ている私も穏やかな気持ちになれました
by y* (2007-09-25 12:12) 

yazoo

気取らない街の表情
素敵な作品ですね^^
by yazoo (2007-09-30 23:25) 

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