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田圃 [歩景]





 「年末の散歩」 その一




年末、
残すところあと二日。
この年は年末を向かえる前に大掃除を済ませていたので、
この日はもう何もする事がなく、
のんびりと休日を過ごしていました。
そのような午後、
それほど心惹かれる空模様ではなかったのですが、
カメラを携え目的もなく近所へ散歩に出掛けました。




B 散歩 01.JPG
〔01〕


この日の空模様は、
冬空を雲が流れ、
時に空を広く覆い、
時に雲から太陽が顔を出すという、
その時々に表情を変えていましたが、
自宅を出たときは空半分は雲に覆われていました。












B 散歩 02.JPG
〔02〕


出掛けたのは午後二時半頃。
用水を渡り、
田圃の畦道を少し歩けば
小さな川に出会います。
まだそれほど遅い時間ではないのに、
雲に覆われた光は弱く、
空の雲を映した水面や傍らの草も、
既に夕暮れの色に近く寒々しています、












A 散歩 01.JPG
〔03〕


少し歩いて見上げれば、
このような空が広がっていました。
西から北の方の空は雲が解け、
青空も広がっていました。












B 散歩 03.JPG
〔04〕


田圃に水がありまして、
その水面に映る空を見つめます。
青空の色を少しでも残そうと、
露出は水面に映る空に合わせ、
更に切り詰めて撮影します。











B 散歩 04.JPG
〔05〕


年末の田圃に雪は積もってはおらず、
容易に田圃を歩くことができます。
ただ、全ての収穫が終わっている田畑には、
何も撮るものが無く、
所謂被写体を探すのに苦労します。












B 散歩 05.JPG
〔06〕


撮るべきものがないときは、
僅かに気に掛かるものを、
とりあえず何かを撮ってみます。
そこから何かしら心動くことがあります。












B 散歩 06.JPG
〔07〕


冬枯れの色一色に染まっている田圃を想像して出掛けた散歩ですが、
思い掛けず緑色の草に出会い、
その冬に負けじと冷たい水に浸りながらも生きている草に心動きました。












B 散歩 07.JPG
〔08〕


私の定番である暗い露出ではなく、
その緑色の草に露出を合わせ写真を撮りました。












B 散歩 08.JPG
〔09〕


十二月末とは思えないきれいな色の草に心が和らぎます。












B 散歩 09.JPG
〔10〕


雪深い土地で冬の田圃にこうした草を見付けとても嬉しくなりました。












B 散歩 11.JPG
〔11〕


他にもこの冬空で、
緑色を纏って生きている草がいました。












B 散歩 13.JPG
〔12〕


やがて一メートルを超える雪の重みに耐えながら冬を越すのです。
此所に根を下ろした者達の宿命です。












B 散歩 10.JPG
〔13〕


田圃中を一本の舗装道路に辿り着き、
その道を西へと辿って歩きます。












B 散歩 20.JPG
〔14〕


稲刈りが終わってかた冬の田圃。
この日は太陽に向かって被写体を探します。












B 散歩 21.JPG
〔15〕


稲の刈り株並ぶ田圃。
版画風に切り撮ります。












B 散歩 23.JPG
〔16〕


刈りにより命絶たれ、
冬の田圃で雪に埋もれます。
来年の稲作の肥やしになるのでしょうか。












B 散歩 16.JPG
〔17〕


稲作の循環なども少し考えさせられ田圃を見つめます。












B 散歩 26.JPG
〔18〕


田圃脇の畔に目をやれば、
こうして緑がたくさんあります。










B 散歩 27.JPG
〔19〕


冬に枯れることなく、
こうして緑色を保ちながら生きている姿を見付けたことは、
冬に埋もれ生活している雪国に住む私にとって、
大きな発見でありました。












A 散歩 02.JPG
〔20〕


南から西に掛けての雲は相変わらずですが、
北半分は雲が無くなり掛けていました。



平成27年 十二月三十日(水) 撮影



例年ならこの田圃も雪に覆われいる事が多いのですが、
この日は雪は全く無く、
自宅裏の田圃を長靴を履く事もなく歩く事が出来ました。
思い掛けない緑色、
草達の強い生命力に出会う事ができました。

正月明けには少々大変な仕事に着任する事になっていたこともあり、
雪に埋もれた辛い越冬前の年末年始休暇も、
少々重い気が重かったのですが、
このうした草たちの生命力に触れ、
何かしら与えられたような気がしました。

さて、この後はいつも通り、
この田圃の主である生産者が住む集落へと向かいます。
ここしばらく足を運んで写真を撮っている集落です。
この日はいつもより少し遅い時間、
そして十二月の末ですから太陽高度も低く、
写真の期待は低かったのですが、
この集落も足を運ぶ度に何かしら発見のある場所、
いつ持ちは違った季節、時間に歩く楽しみがあります。
この日も新たな発見を期待して、
傾き掛けている太陽を気にしながら、
散歩の歩みを早めます。












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コメント 3

JUNKO

身の回りの自然を少しも見逃すまいと目を凝らして、版権の喜びに浸るその真摯な姿勢にいつも頭が下がっています。そしていい加減な自分を反省します。
by JUNKO (2016-05-22 20:22) 

SILENT

大地って凄いですね。空の拡がりと、大地の光と影と人々の営みと、自分は今何を見ているのか、考えているのか、寂光さんのスタンスに嫉妬しますね。
by SILENT (2016-05-23 02:29) 

寂光

「JUNKO」さん、
田舎故、フォトジェニックな物が何も無いので被写体探しは大変です。
必然的に自然を対象にするしかありませんが、
自然は偉大で、織りなす光で様々さ姿形を見せてくれます。


「SILENT」さん、
大地の偉大さなどを感じることなど、
正直に言えばこの歳になるまでは無縁でした。
好きな対象を好きように撮影していた若い頃には、
出会いがあっても感じ入ることなどありませんでした。
現在、様々な制約がある撮影の中で感じ入る事があります。
そんな中でも、気まぐれ、気ままに写真を撮っていますが、
得る答えなどを考えず、
許される中で写真を撮って行きたいと思います。

by 寂光 (2016-05-29 06:22) 

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