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細道 [歩景]





 [年末の散歩」 その二



雪国の年末に、
雪を見ずして歩く散歩は足元が良く、
足取りも心も軽やかでした。

いつもの散歩と同じ道筋を辿り、
自宅裏の田圃を北に向かい、
田圃中を東西へと延びる舗装道路を直角に曲がり、
西へと進み田圃を抜けます。

田圃の主となる集落へと足を踏み入れます。
この集落に東西へ約二百メートルほどの細い道があります。
東からその道を歩けば、
少しだけ左に曲線を描き、
道の両端を望むことが出来ません。
道の両脇には住戸の無造作な生け垣などがあります。
手入れがされていない生け垣などは、
見た目には特に心を引きつける美しさはなく、
どうということの無い景色があるだけですが、
私は好んで出掛けてはこの道を歩いています。

この日はいつもの散歩より少し時間が遅いため、
冬の夕暮れが迫ってきています。
空模様や光の具合が気になりながらも、
いつも通り写真を撮りながらゆっくりとし歩いて行きます。




B 散歩 29.JPG
〔01〕


日暮れが迫る冬空と冬枯れの枝。
光の具合で空の模様が背景に映えます。













B 散歩 30.JPG
〔02〕


木々の枝の間から空を見つめます。
陽の差す空に木々の葉や枝が影となりますが、
冬はこの影の黒色が深くなります。












B 散歩 32.JPG
〔03〕


枝の重なりが様々な模様を作っています。
立つ位置を少しずつ変えながら、
その模様の変化を楽しみます。












B 散歩 33.JPG
〔04〕


時折枝の間から光が漏れてきます。
その光が影の中に滲み出します。












B 散歩 34.JPG
〔05〕


遠方の山並みと集落の木々を眺めます。
太陽を覆う雲が解れると陽差しが強くなり、
空の雲や地上の山並みや集落の木々は、
陰影の深い景色を創り出します。












B 散歩 35.JPG
〔06〕


雲の動きは風まかせ。
太陽と雲の戯れは光と影の絵を創り出します。












B 散歩 36.JPG
〔07〕


いつも立ち寄る小さな神社の意匠。
現代の便利な素材は質感が劣りますが、
雲間から僅かに漏れる光に照らされていました。












B 散歩 38.JPG
〔08〕


灯籠の意匠。
影の中に宝珠の形を見出します。












B 散歩 40.JPG
〔09〕


光と影が創り出す形の美しさ。












B 散歩 43.JPG
〔10〕


鈍い光に濡れ色が浮かび上がっていました。












B 散歩 45.JPG
〔11〕


足元に目を移せば、
灯籠の基壇と敷石も冬の陽差しに輝いていました。












B 散歩 46.JPG
〔12〕


敷石に落ちた木々の枯れ葉などが、
反射する光を鈍らせ、
模様を創り出しています。












B 散歩 48.JPG
〔13〕


神社を後にして細い道に入ります。
その突端の足元に、
艶のある葉が輝いていました。












B 散歩 51.JPG
〔14〕


細い道の先を眺めます。
道は木々に覆われ、
曲線を描いて延びています。













B 散歩 50.JPG
〔15〕


左手の小さな竹林。
初めて此所を訪れたときも、
この竹林の囲いの写真を撮りました。












B 散歩 52.JPG
〔16〕


薄暗い竹林を覗き込みます。
気取りのないありふれた景色を見つけ出す散歩です。












A 散歩 04.JPG
〔17〕


時々空を見上げ、
道の上を覆う木々の隙間から空を眺めます。
雲間から青い空が顔を出していました。












B 散歩 56.JPG
〔18〕


道の脇の垣根。
その茂みの小さな葉が輝いています。












B 散歩 55.JPG
〔19〕


廻りの景色を省いてその輝きを見つめます。












A 散歩 05.JPG
〔20〕


少し先に進みますと、
細道の途中に水溜まりがありました。












B 散歩 58.JPG
〔21〕


その水溜まりの水面に映る木の枝。
風景の中に鏡を見つけ、
小さな感動を得ました。












B 散歩 60.JPG
〔22〕


黄色い斑点を帯びた葉。
普段は気にとまらないこの葉の模様に、
この散歩では何故だか心惹かれました。












B 散歩 59.JPG
〔23〕


その気になる葉影には、
小さな赤い実が隠れていました。












B 散歩 64.JPG
〔24〕


道脇の切り株も、
雨の湿り気をまだ含んでいて、
残照に輝いていました。












B 散歩 65.JPG
〔25〕


その切り株の切り口を覆う苔。
光が弱く苔の緑色が浮かび上がりません。












B 散歩 61.JPG
〔26〕


西の空は陽も傾き、
暮れ色に染まり始めてきました。












B 散歩 62.JPG
〔27〕


その光の中に浮かび上がる、
木々の葉を探して歩きます。












B 散歩 63.JPG
〔28〕


細道の終点が見えてきました。
既に外灯も点灯して影も濃くなり、
夕暮れの深まりを感じつつ、
この先の神社まで行くつもりでしたので、
少し歩みを早め細い道を抜けました。



平成27年 十二月三十日(水) 撮影



冬の夕暮れ近付いた頃合いの散歩ははやり寂しさを感じつつ歩きます。
増して年末も、残す日あと二日となった夕暮れですから、
見つめる光の色合いなども冬の色が濃くなり、
その光が描き出す陰影も深くなります。

ありふれた景色しかないこの散歩道ですが、
何度通っても新たな出会いがあります。
時間を変えて、
季節を通して通えば、
たくさんの出会いを得るでしょう。

私の散歩は撮影が伴うため、
その歩みは遅く牛歩のよう。
ですから、所謂健康の為にはなりません。
また、冬の散歩は暑さ知らずですから、
歩みの遅い体は冷えるのでしっかりと着込まないといけません。
それでも夏のように藪蚊に刺されることもなく、
暑さや汗の不快感もなく、
散歩自体は至って気が楽であります。
ただ、田圃に雪が積もればこの散歩道が途絶えます。
田圃を通らずしてこの集落に行くことも可能ですが、
雪という障害が散歩に出掛ける気持ちを阻害します。
ですから、雪が積もる前の年末のこの日、
散歩に出掛けたことは幸運でした。
空模様や光の具合も良く、
気に入った写真を撮る事も出来、
この先の出会いを楽しみにして、
冬の暮れ色深まる中、
歩みを早めて先の神社へ向かうのでありました。










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コメント 4

JUNKO

幽かな光の先に展開している世界を寂光さんんはしかと見据えていますね。
by JUNKO (2016-05-29 20:20) 

engrid

細い脇道の垣根の緑、密やかな輝き
苔の緑、 モノクロな世界に美しい光を感じます
by engrid (2016-05-29 22:21) 

寂光

「JUNKO」さん、
好きな道を歩き、
自分の好きな光を探し撮影する。
気ままな散歩であります。
こうした被写体、写真がいつの間にか身に付いてしまいました。

「engrid」さん、
どうということの無い景色が、
光の在り方で様々な物が輝きます。
最近は遠出せずに、
家から歩いて通うことの出来る身近な場所で、
こうした出会いを求めて写真を撮る事が多くなりました。
by 寂光 (2016-05-31 06:41) 

SILENT

寂光さま
写真は自画像なんですね。
そして一枚の路上の落ち葉に、世界は詰まっている。
そんな言葉の、数々に出会いなんとなく共感できる歳になりました。
写真は感じることを無心に求める世界でいいんでしょうね。
by SILENT (2016-06-02 05:24) 

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