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妻有 [心景]





 2012 越後妻有「大地の芸術祭」の記憶 その六




大地の芸術祭の中心地は十日町市となるのですが、
十日町から鉄道なら気動車でのんびりとJR飯山線を、
道路ならば国道117号線にて長野県との県境を目指して、
共に信濃川に沿ってしばらく走れば、
川の名が信濃川から千曲川へと変わる県境の町、
津南町に辿りつきます。

その鉄路と国道の中ほどに、
静かな町の中に嘗て織物工場だった建物があります。
活気のあった時代があったのかどうかは知り得ませんが、
この小さな町の中に、
建物一棟を使ってのアートが、
夏の眩しい光の中、
私の心を惹きつける不思議な世界が広がっていました。




A 芸術祭 24-63.JPG
〔01〕


硝子製の風鈴が吊り下げられた部屋。
一つの窓から夏の光が溢れていました。

この明るさからは、
次に目にする空間を想像することができません。












A 芸術祭 24-47.JPG
〔02〕


歩みを進めるれば、
一転、光の遮られた空間が広がっています。

Tシャツがハンガーに吊るされ、
その中には電球が仕込まれています。

浮遊感を感じるこの空間が好きです。

Tシャツの無う奥には、
このあとに出てくる作品が写っています。












A 芸術祭 24-48.JPG
〔03〕


前の写真のTシャツは実は裏側で、
脇を通り過ぎ振り返ると、
このような世界が広がっています。














A 芸術祭 24-50.JPG
〔04〕


Tシャツの上部は赤色や緑色に染められています。












A 芸術祭 24-49.JPG
〔05〕


一枚一枚のTシャツに、
命を与えられたよう。












A 芸術祭 24-51.JPG
〔06〕


Tシャツの空間を正面に見てその背中、
建物の突き当たりの壁に現れたアート。
まるで壁画のようなであります。


本来壁と接しているはずの2階床が、
壁の手前で途絶え、
その隙間に2階の窓から差し込む自然光が、
壁面を照らしています。


空間と光の扱いが素晴らしい。












A 芸術祭 24-53.JPG
〔06〕


その壁には数えることが出来ないほどの、
ビニールで被覆されたハンガーが絡み合っています。


このハンガーという物体が、
空間と光の中で浮かび上がる姿に、
私は強く心を惹かれました。


その想いを、
上手く写真に撮ることが出来ず、
添える文章も技量なく、
上手く伝えることが出来ませんが、
この芸術祭の中でも特に好きな光景であります。












A 芸術祭 24-54.JPG
〔07〕


1階から2階へと足を運ぶと、
再び光溢れる世界が広がっています。

雲からぶら下がるハンガー、
何を意味するのか私には分かりませんが。
何やら微笑ましい光景です。












A 芸術祭 24-55.JPG
〔08〕


その雲を辿って先を行けば、
少し緑色の深い壁に辿りつきます。












A 芸術祭 24-57.JPG
〔09〕


その壁には、
ハンガーと蔦の葉が絡み合っています。












A 芸術祭 24-56.JPG
〔10〕


ハンガーに絡み付いて模様。
意図して配置されたのかどうかは分かりません。












A 芸術祭 24-58.JPG
〔11〕


更にその先に現れる空間。

此処はもう、
天国のように感じていまう場所であります。












A 芸術祭 24-60.JPG
〔12〕


雲が這うような様。












A 芸術祭 24-59.JPG
〔13〕


近く寄ってみれば、
このような素材で造られた空間であることを知りますが、
そのようなことはどうでも良いのです。












A 芸術祭 24-61.JPG
〔14〕


最深部。
また、あの暗い空間のモチーフが現れました。

雲を想わせるようなこの質感と浮遊感。
鎮座するシャツは心臓なのか。
もしかすると女王蟻か女王蜂のような存在なのか。












A 芸術祭 24-62.JPG
〔15〕



様々な想いが浮かんでくる場所です。



夏が近づいてきた今日この頃、
梅雨の不快な湿り気を含んだ空気が漂う空気の中で、
あの妻有の夏の風を想い出しています。



(平成二十四年) 八月十五日(土) 撮影



このアートは特に好きなアートで、
親しみのなかった現代アートを私に惹きつけるきっかけとなった場所です。

此処でこの作品の記憶を留めるために、
自分で撮影した写真ではなく、
大地の芸術祭では唯一絵葉書を買い求めた場所。
前々回に出会い、
前回も訪れた場所。
今年もこのアートと出会うことが出来ることを、
密かに胸に抱いています。



    *


また仕事に追われてしまい、
すっかり余裕を失っています。
自宅でパソコンを開く時間がほとんど無く、
思うようにブログの記事を書くことが出来ません。
今年の芸術祭が始まるまであと一ヶ月と少し、
前回の芸術祭記事の下書きが記事があと二つなので、
何とか今年の芸術祭の前には全部更新することができるでしょうか。
春に撮った写真の整理もまだできていない状況なので、
普通の写真記事は恐らく半年遅れでの更新になってしまいそうです。
今年の芸術祭記事はいつ更新することができるのか心配になりますが、
本当の心配は今年の芸術祭に行くことができるかどうか。
50日の会期中に最低三回は行きたいので、
今から仕事の調整をしなければなりません。










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妻有 [心景]





 2012 越後妻有「大地の芸術祭」の記憶 その五




この作品は、
と言うよりも、
この空間が好きです。

此処に来るのは二度目ですが、
二度訪れるならば、
新たな作品を求めて他へ行った方が良いという考えも頭の中には浮かびますが、
再びここへ足を運ばせる力をこの作品が持っているという事です。
実際、この年も大変多くの人が訪れていました。
大変人気のある作品のようです。

この作品は、
閉校になった校舎全体を使っての構成となっています。
先ず足を運び入れるのは校舎の昇降口ではなく、
外光を遮断した体育館、
出入り口を覆う暗幕を潜ってその空間へと入り込みます。


夏の強い光に晒されてきた眼は、
すぐにこの暗い空間に順応することが出来ず、
私は動くことが出来ず、
壁に添ってしばらく立ち尽くします。
先にこの空間に入っている人たちが、
私の傍を動いていますが、
私の暗順応は遅く動くことが出来ず、
少々焦りを感じました。

また、一歩この空間に足を運び入れた時から、
稲わらの匂いが私の花を付いています。
この閉じ込められ、
熱気を帯びた空間に稲わらの匂いが立ち込めています。

その稲わらは体育館の床一面に、
割合厚く敷き詰められていて、
暗さによる不安な視覚と、
足裏の不安定な感覚が相まって、
この空間から受ける刺激は最初から最高潮に達します。

しばらくして、
真っ暗な体育館に電球が浮かんでいるのが眼に留まります。
そして耳には扇風機の羽が回る音が届きます。


多くの感覚を刺激されてこの空間を彷徨います。


最初にこの空間へ足を入れた時の感覚は、
ことのほかよく覚えていて、
六年経った今でもその感覚を忘れることがありません。




B9月8日 34.JPG
〔01〕


この空間が体育館に設えられた空間です。
写真に撮ると扇風機や壁が写っていますが、
見た目には電球が点として見えるだけで、
その他は真っ暗で、
ただただ黒い空間です。












B9月8日 29.JPG
〔02〕


この暗い空間ではストロボの光も役に立たず、
どう写真を撮ってもブレるので、
ブラして撮るしかありません。












B9月8日 35.JPG
〔03〕


中央付近の明るいところが体育館の出入り口で、
人が出入りするときのみ、
外光の強い光が入り込みます。
ただ、それは入口付近を明るくするだけで、
体育館全体を明るくするするような光ではありません。












B9月8日 33.JPG
〔04〕


プロジェクターから発される光で、
このように壁面が星空のような光景が時折現れます。












B9月8日 31.JPG
〔05〕


電球に接近。
人々は思い思いにこの空間を歩き回ります。












A8月6日 46.JPG
〔06〕


電球の接写でぎりぎりの静止画。
ようやく何かを捉えた感覚を得ました。












A8月6日 45.JPG
〔07〕


暗い体育館を抜けると、
そこには又も暗い空間があります。
短い廊下を右に折れ曲がると、
今度は校舎の少し長い廊下が伸び、
その突き当りから強い光が廊下を進む者の眼に突き刺さります。












A8月6日 47.JPG
〔08〕


学校という廊下とは思えぬ空間。












A8月6日 48.JPG
〔09〕


映画のシーンを思い起こさせる光景です。












A8月6日 49.JPG
〔10〕


この空間は刺激的です。












A8月6日 50.JPG
〔11〕


電球の整列。
これを撮らずにはいられません。











A8月6日 52.JPG
〔12〕


階上の教室に辿りつきました。
またしても電球が現れました。












A8月6日 56.JPG
〔13〕


執拗に電球を写真に撮ります。












A8月6日 54.JPG
〔14〕


飽きもせず。












B9月8日 38.JPG
〔15〕


教室は布で仕切られていて、
プロジェクターランプで電球の姿がその布に浮かび上がります。












A8月6日 57.JPG
〔16〕


この電球もまた、
写真に撮っていて楽しくなります。












B9月8日 37.JPG
〔17〕


またもやたくさん写真を撮りました。












B9月8日 36.JPG
〔18〕


結局、
電球の写真を撮ることに夢中になってしまいました。
途中から、作品紹介のための写真を撮ることを忘れてしまいました。


この作品の意味など私にはまったく分かりません。
感じていることも具体的に説明することなど出来ません。
私は元来芸術作品を見ることに理解することなど放棄しているので、
良いかどうか、
好きか嫌いか、
ただそうして芸術作品と対しています。



(平成二十四年)九月八日(土) 撮影



本記事は、
作品の説明としては成立しませんでした。
実は他にも心を惹かれるシーンがあったのですが、
上手く写真を撮ることが出来ず、
ここで紹介することが出来ません。

この作品、
この空間に私は満たされ、
二度も足を運んで同じような写真をたくさん撮ってきました。
もう一度身を置きたい空間、
今年も展示されるのでしょうか。
もう一度この空間に身を置き、
また写真を撮りたいと想っています。











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 2012 越後妻有「大地の芸術祭」の記憶 その四




A8月6日 16.JPG
〔01〕


なにやら楽しい予感があります。












A8月6日 17.JPG
〔02〕


閉校になった小学校。
鉄筋コンクリート造三階建ての南側壁面には、
大きな布地に描かれた大きなモグラが居ます。












A8月6日 19.JPG
〔03〕


そこへ向かう者を、
遠くからもそのモグラが出迎えていてくれます。












B9月8日 19.JPG
〔04〕


玄関に辿りつきました。
「もぐらの館」で入口です。
ここを潜って入ります。
モグラの巣穴に入る感覚です。












B9月8日 20.JPG
〔05〕


土を踏みしめます。

此処は「土」を主題に表現している場所なのです。












B9月8日 21.JPG
〔06〕


振り返って外界を眺めた後、
モグラの館に潜入します。












A8月6日 21.JPG
〔07〕


階段を登り、
作品展示のある二階へ上ります。
その廊下端のガラス窓にあった火の見やぐらが描かれていました。












B9月8日 22.JPG
〔08〕


こちらには懐かしい日本の農村風景が描かれています。
他にもたくさん描かれていましたが、
どうやらここ妻有で出会うことの出来る風景が描かれているようです。












B9月8日 23.JPG
〔09〕


この窓ガラスの画は、
みな「土」で描かれています。












A8月6日 22.JPG
〔10〕


古びた床に、
その画の影を落とします。












A8月6日 08.JPG
〔11〕


別の教室へ。
陽射しが溢れる南側の窓には、
暗幕が張ってありました。












B9月8日 25.JPG
〔12〕


開け放たれた窓からは、
時折熱を帯びた風が吹き込みます。












A8月6日 09.JPG
〔13〕


風が吹く度に、
その暗幕の裾が揺れ動きます。












A8月6日 11.JPG
〔14〕


その風に揺れ動く裾から漏れる光景に心を惹かれました。












B9月8日 24.JPG
〔15〕


床に映る光と影。

夏の強い陽射しが劣化した布を、
突き抜けます。












A8月6日 14.JPG
〔16〕


このような展示作品とは関係のない物を、
ひたすら撮り続けました。












A8月6日 24.JPG
〔17〕


別の教室には、
また、別の空間が広がっていました。

これは何なのかと考えさせられる楽しみ。












A8月6日 25.JPG
〔18〕


覗きこんで見るという楽しみ。

解する必要はありません。












A8月6日 04.JPG
〔19〕


失礼ながら、
作品に心を惹かれるのではなく、
作品を照らす照明器具の並びに心を惹かれました。












A8月6日 05.JPG
〔20〕


此処でも好きなものをたくさん撮りました。












A8月6日 06.JPG
〔21〕


こうした光や画には、
嗅覚が働くというか、
習性として写真を撮っています。












A8月6日 10.JPG
〔22〕


気に入りの構図を探し求めて試行錯誤。
何を撮っているのかと怪訝な他人の視線を感じる。












A8月6日 13.JPG
〔23〕


並んだランプの数ほど写真を撮りました。












A8月6日 26.JPG
〔24〕


二階から三階へ通ずる階段の壁には、
表面が波打つガラスブロックが嵌め込まれ、
夏の陽射しに輝いていました。












B9月8日 26.JPG
〔25〕


強い輝きの向こうにある青色に、
夏の陽射しも少しだけ冷やかに感じました。












B9月8日 27.JPG
〔26〕


作品を鑑賞し、
帰り際に一階へ降りる階段。
此処は光が遮られていて、
その暗い空間にプロジェクターの光が投じられていました。












B9月8日 28.JPG
〔27〕


この日、
此処にいた自分の影を、
壁に映して楽しみました。



(平成二十四年)九月八日(土) 撮影



古い鉄筋コンクリート造校舎を使っての展示。
様々な発想がそこにはあって、
随分楽しむことが出来ます。
廃校という空間を使った展示は、
ここ妻有での個性で気に入っています。


作者の想いに感応していないと思うのですが、
この「もぐらの館」も楽しい空間でした。
そう感じる場所に一人で訪れたのが幸運でした。
自分の好きなように、
自由気ままにたくさん写真を撮りました。











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妻有 [心景]





 2012 越後妻有「大地の芸術祭」の記憶 その三




A8月6日 27.JPG
〔01〕


建物の外壁です。
空間構成も、
設えも質素というか簡素。
どうしてそうなったのかと自分なりに考えると、
様々な事情が浮かび上がってしまい、
純粋に芸術の事を考える支障となってしまいます。

どのような事情であれ、
目の前にした物体に、
一度興味を持てば写真に撮ります。

縦と横に整然と組まれた格子。
ただそれだけですが、
そこに造られた空間から、
極私的に感応するひと時でした。












A8月6日 29.JPG
〔02〕


光と影。
写真だけではないのですね。
建築空間の中に生まれる光と影を見つけると、
何故だか幸せになります。












A8月6日 31.JPG
〔03〕


ただひたすらに写真を撮ります。
自分が納得するまで。












A8月6日 28.JPG
〔04〕


まだまだ撮ります。












A8月6日 41.JPG
〔05〕


執拗に。












A8月6日 32.JPG
〔06〕


視線を建物から、
その空間の中にあるアートに転じます。



建築とアートの融合でしょうか。
正直に言うとその必然性は感じられなかったけれど、
それぞれの想いというか、
その熱は伝わってきて、
違和感を感じることはありません。

何かの意味があるのでしょうが、
残念ながら私はその意味を解することが出来ません。

解することなど必要なく、
見ていて楽しいかどうか、
ただそれだけの事です。












A8月6日 42.JPG
〔07〕


眼の前のアートに接近。

周囲を削ぎ落とせばフォトジェニック。


そして露出は、

少々暗め。


私はこれ位の雰囲気が好みです。












A8月6日 43.JPG
〔08〕


それでも少々露出を変えて、


少々明るめ。


これも悪くないと思う、
優柔不断な性格です。












A8月6日 44.JPG
〔09〕


更に明るめ。


これもまた悪くない。


もう、どれが良いのか、
自分でもわかりません。

被写体も、
被写体も、
何が何なのか分からなくてもよいのです。


ただ何となく楽しい、
そう感じるだけで良いのです。
それが現代アートなのだと私的に感じています。












A8月6日 33.JPG
〔10〕


不思議なアートのある空間を抜けると、
その奥にもう一つの部屋が現れました。

天井がなく、
露わになった屋根の裏から何本ものテグスが引き込まれていて、
そのテグスが何箇所か、
集まって外壁を突き抜けています。












A8月6日 34.JPG
〔11〕


これもまた何だかわかりません。

全く解することが出来ません

それでも心惹かれます。












A8月6日 35.JPG
〔12〕



解らずとも快感なり。












A8月6日 36.JPG
〔13〕


様々な方向に走る。






A8月6日 37.JPG
〔14〕


近付けば、
力強く。

楽器の弦を想う。












A8月6日 39.JPG
〔15〕


背景の格子と共演。













A8月6日 40.JPG
〔16〕


様々な方向を目指しても、
何故だか乱れては居らず。












A8月6日 33.JPG
〔17〕

此処でもまた、
ただひたすらに撮りました。

オートフォーカスでは思う場所にピントが合わず、
かといって、
マニュアルフォーカスでピントを合わせてようとしても、
どこにピントが合っているのかが、
ファインダーを凝視してもわかりません。



    *



私の仕事とは切り離すことの出来ない感覚が、
この空間にありまして、
思い返せば、
この後過酷な状況に落ち行ったことを思い出します。
苦い思いも時が経てば薄れます。
佳境のどん底にいた時に持ち和すことの出来なかった苦い思い出も、
時が過ぎれば薄く掠れていきます>



(平成24年)九月八日(土) 撮影











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妻有 [心景]





 2012 越後妻有「大地の芸術祭」の記憶 その二




B9月8日 01.JPG
〔01〕



此処で迎えててくれたのは、
カラフルな色に塗られた雪囲いの板でした。
消火栓を雪から守る小さな小屋の前面を覆うその板を、
一枚一枚、ビビッド色のなペンキで塗ったもの、
ただそれだけの発想で、
一瞬、自分でも出来そうな気がするが、
実際に行動に移すことが出来るかどうか、
その紙一重の境界には大きな壁があることはわかっています。












B9月8日 39.JPG
〔02〕


「アジア写真映像館」という企画。
さぞやアジアの写真がたくさん詰まっているのだろうと期待しながら
この嘗て小学校だった校舎に足を踏み入れます。

三年前にもこの校舎を訪れています。
作品の記憶はかなり薄れていますが、
自分が撮影した写真のことはと、
現代アートの大きな力を感じたことをよく覚えています。

上手く言葉で表現することが出来ませんが、
何かしらの「力」が甦ってきます。

現代アートにまだ慣れ親しんでいない私に、
大きな衝撃を与えてくれました。












B9月8日 02.JPG
〔03〕


そのカラフルな雪囲い板は、
校舎の一階まどにはすべて嵌め込まれていました。
夏の日差しは校舎の壁に反射して、
板の裏側まで十分回り込み、
その鮮やかな色を照らしていました。












B9月8日 03.JPG
〔05〕


色の連なりに意味はあるのか。
色の意味合いとか、
配列とか、
良くわかりませんが、
色々な事を考えてみます。

勿論、
答えを得ることなど出来ませんが。












B9月8日 04.JPG
〔06〕


順路に従って歩いていくと、
山間の小学校を想像させる控えめな大きさの体育館に辿り着きました。

体育館の天井から、
大きな写真が垂れ下がっていました。

少々写真は割愛していますが、
ここまでは隣国、
大陸の国の作家による作品のようです。












B9月8日 05.JPG
〔07〕


贅沢なカンバス。
贅沢な空間利用。












B9月8日 06.JPG
〔08〕


純粋にその写真の世界に入っていくことが出来ないのは、
私の素養です。












B9月8日 07.JPG
〔08〕


体育館の大空間から一転、
三階の教室へと、
順路にしたがって辿り着きました。


十分大きな写真ですが、
あの体育館での写真を観た後では、
随分控えめに見えてしまいます。












B9月8日 08.JPG
〔09〕


この嘗て小学校の教室であった空間によく合う構成だと感じました。














B9月8日 09.JPG
〔10〕



この日此処へは、
この写真を見るために行きました。

これらの作品は、
日本の写真家、
森山大道氏の写真です。



正直に言うと、
嘗ての小学校校舎を丸々使っての作品展示にしては、
多くの感応を受けることはありませんでした。

「アジアの写真」と謳いながら、
出展する写真家の数が少ないように思われました。

ちょっと肩透かしを食らったような













B9月8日 10.JPG
〔11〕


少々肩透かしを食らった感を抱きながらふと目にした写真。


予期せぬ、
思惑の違う写真に何故か心惹かれました。












B9月8日 11.JPG
〔12〕


それは、
この空間に良く合う写真でした。


色々と想像してしまいます。


写真の技術ではなく、
写真が持つ本質の一つを見た気がします。












B9月8日 12.JPG
〔13〕


様々な背景なども浮かび上がってきます。

あまりにもこの場所に合ってしまいます。

この場所での一番印象的な写真でした。












B9月8日 13.JPG
〔14〕


嘗て教室だった三階の窓から外を見れば、
何とも美しい景色が広がっていました。


この教室で、
繰り広げられた光景を勝手に想像しては、
我が小学校時代の思い出が浮かび上がり、
懐かしい気持ちで心がいっぱいになりました。


日本の都会や世界の先進国とは違う時間が、
こうした山村で織り成されてきたのです。


随分私も歳を取りました。
こうした感覚を抱く。
そのような歳になったのですね。












B9月8日 14.JPG
〔15〕


一種の憧れでもある写真家の写真を初めて見た帰り際、
展示されていた三階廊下の突き当たりに大きな鏡があり、
そこに立つ自分の姿が映っていました。


嘗ては多くの子供たちを映した鏡、
今は子供の姿を映すことなく、
子供の声が響くことの無いこの空間に、
この日此処を訪れた自分の姿が映っていました。



今年もこの鏡に自分の姿が映るでしょうか。
好きな空間なので、
作品とは関係なく、
きっと自分の姿を映すことになると思います。



    *


想いを上手く文章にまとめることが出来ません。
「時間切れ」。
推敲も放棄ます。
ブログ記事を先に進める為、
敢えて不完全でも更新いたします。











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妻有 [心景]





 2012 越後妻有「大地の芸術祭」の記憶 その一




B9月8日 16.JPG

〔01〕












A8月6日 02.JPG
〔02〕












A8月6日 01.JPG
〔03〕












A8月6日 03.JPG
〔04〕



(平成二十四年)九月八日(土) 撮影



三年前の夏、
「越後妻有大地の芸術祭」を夏の炎天下に駆け巡りました。
その時に撮った写真を記事にすることなくずっと放置していましたが、
三年に一度の芸術祭を三ヶ月後に控え、
更新する機会をうしなっていまう機感を覚え記事することにした。



    *



前回の芸術祭には三度出掛けました。
平成の大合併により、
隣り合う市となった十日町市ですが、
地図上で隣り合わせになっただけで、
実際の距離は何も変わらず、
峠越えをして三度も通うのは、
それなりの「物好き」と言うしかありません。
何せ作品は広範囲に展示されているので、
興味のある作品だけを見て回っても、
一日では到底足りません。

現代アートに触れる機会を与えてくれたこの芸術祭、
見て回る作品の順序を決め、
効率よく自家用車で回る、
夏の陽を浴びながら車を走らせる。
汗をかきながら夏の匂いと風を感じながら、
この「夏の大地を駆け巡る」という感覚が私には爽快かつ快感です。


今年の夏も妻有の大地を駆け巡りたいと思っています。
五歳の娘にとっては二度目の芸術祭、
二歳の時には感じ取ることの出来なかった何かを、
感じ取って欲しいと思うと共に、
この大地の風や光も感じ取って欲しいと思っています。













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桜花 [心景]






桜02.JPG
〔01〕












桜06.JPG
〔02〕












桜09.JPG
〔03〕



四月二十一日(土) 撮影



花を写真に撮るのは苦手です。
桜の写真も全くダメですが、
いつも拝見しているブロガーさんが撮った桜の写真に触発され、
また、前記事のあの場所が観桜会会場であったため、
今年は重い腰を上げて桜を撮りに出掛けました。

苦手意識、
その言葉の呪縛でしょうか、
やはり思い通りに撮る事が出来ませんでした。
目の前の桜に感動するものの、
写真としてのイメージが浮かび上がってきません。

思い通りに撮ることが出来なかった写真ですが、
そこには私そのものが写っているのですから、
雑記帳に記録しておきます。











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妻有 [心景]





 越後妻有(つまり) 大地の芸術祭   その十四(終回)




妻有100.JPG
〔01〕


 廃校となったこの小学校では、
 たくさんの作家による作品が展示されていました。
 その作品を鑑賞する楽しさを十分に味わうことが出来たのですが、
 それ以外の対象を同時に見ている自分があります。








妻有101.JPG
〔02〕


 昇降口前、
 何故だか校章に気が惹かれました。








妻有110.JPG
〔03〕


 その予感に誘われるように、
 教室に残された校章に自然と目が行きます。












妻有106.JPG
〔04〕


 校旗の校章は刺繍、
 その厚みに風格を見る。












妻有109.JPG
〔05〕


 校旗の先に金属製の校章、
 この輝きも、
 人々の記憶も、
 やがて鈍くなっていくのだろう。









妻有102.JPG
〔06〕


 廊下で出会った担架、
 何故かこの日は気になるマークとたくさん出会いました。













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〔07〕


 屋上には光が溢れ、
 金属板に草のシルエットが眩しい。












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〔08〕


 蜘蛛の巣に落ちた蜻蛉。
 微かな音も消え、
 ただ静かな時が流れる












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 朽ちていく校舎にも、
 等しく光は降り注ぎ、
 青き空が映える。
 
 










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〔10〕


 芸術祭最後の撮影、
 こうした山間の道を駆けめぐってきました。
 場所の説明をするなら、
 山の懐に広がる田畑や木々など地上に露出を合わせた方が良いのですが、
 空と雲の印象が強く自分らしいいつもの切りつめた露出で幕を引きました。
 なお、今回記事の写真は数ヶ所で撮影した写真で構成しました。



    *



 相変わらず私的な時間をほとんど持つ事が出来ない生活を送っています。
 ただ、幸いに数少ない写真を撮る事が出来る機会に、
 たくさんの写真を撮る事が出来たので、
 こうしてシリーズ化して記事を繋ぐことができます。
 この後は旅シリーズを始めます。
 旅先で多量の写真を撮ったので、
 その中から厳選せず自分の好きな写真を記事にしていきたいと思います。
 したがって似たモチーフの写真が続くかもしれません。
 また、写真にコメントや説明を付する時間が無いので、
 説明不足が多々あると思いますが、
 十月いっぱいはそのシリーズで記事を繋いでいきます。
 さて、その旅はどこへ行ったかは、
 次回のお楽しみということで、
 今シリーズ「越後妻有(つまり) 大地の芸術祭」は閉じたいと思います。
 
 










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妻有 [心景]





 越後妻有 大地の芸術祭   その十三





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 廊下の光景です。

 床板に白線が引かれた写真は、
 先の記事で紹介した朝顔の学校で撮影しました。

 椅子の並んだ写真は、
 かつて織物工場のあった建物の二階で撮影しました。

 こうした光景に出会うと、
 写真を撮らずにはいられません。
 この芸術祭ではアート作品を鑑賞する楽しみと、
 その展示場所やその周囲に広がる風景なども見て楽しみ、
 またその写真を撮る事が出来、
 夏の終わりの休日一日を有意義に過ごすことが出来ました。



    *



 長くお付き合いいただいたこのシリーズ、
 次回ようやく最終回となります。
 芸術祭に関してもう少し説明をしなければいけないと思いながら、
 なかなか時間が無くてただ写真を羅列して終わってしまいます。
 今はこうして写真に僅かな言葉を添えて更新するのが精一杯です。

 日々秋が深まり暦も十月を迎えました。
 年内はこうした形でのブログ更新となります。
 幸いにも記事にする写真はたくさんあるので、
 ゆっくりと更新して行きたいと思います。

 









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妻有 [心景]




 越後妻有 大地の芸術祭   その十二





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 様々な思いがあって撮ったつもりの写真ですが、
 ついに記事に至らなかった写真です。
 そうした写真の中からいくつか選んで今日の記事とします。
 それぞれ語りたいこともあるのですが、
 今日も時間切れ、
 写真だけで更新いたします。


 日々語りたいことなどたくさんあるのですが、
 どうしようもなく時間だけが過ぎ去っていきます。
 二十四時間の内、
 一時間ほでも時計が止まり、
 その時間を自由に使うことが出来たなら、、
 頭の中に思い浮かぶ言葉や考えを、
 何かに書き留める事が出来るのではないかと思います。


 今日は特別な日でしたが、
 何事もなく、
 極平凡に過ぎ去って行きます。
 その平凡さが良いのだと自分に言い聞かせます。














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