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妻有 [心景]




 越後妻有 大地の芸術祭 2015 四日目



芸術祭に出掛ける事四回目の四日目。
この日も生憎の雨模様となってしました。
一回くらいは妻と二人で作品巡りをしようということで、
この日は平日に代休を取得し、
娘を幼稚園に送り出してから妻有へと向かいました。

この日最初の作品は、
今回の芸術祭に於いて私が期待していた作品で、
ここはじっくりと鑑賞しようと、
何度も前を通っていたにも関わらず、
妻と二人だけで出掛けるまで見送ってきた作品です。

開場時間の10時少し前に到着し、
車の中からカメラを取り出そうとしたところ、
積んだはずのカメラ一台が見当たりません。
出掛ける前の慌ただしさに玄関先に用意していおいたカメラを、
積み忘れて来たのです。

芸術祭ではいつもの撮影と同じく、
一眼二台にそれぞれ広角と望遠ズームを付け、
レンズ交換のストレスがないように撮影していました。
この日広角ズームを装着したカメラを忘れてきてしまったので、
望遠ズーム一本のみでの撮影となってしまい、
大きく落胆しました。
その上に、この日も雨。
カメラを忘れたことと相まって撮影意欲は消沈しました。




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〔01〕

この日最初の作品は、
嘗て医者が住んでいた家屋で繰り広げられるアート作品です。

二階廊下の突き当たりにある窓からの眺め。
展望は開けていないが、
杉の木が真っ直ぐに伸びる幹と、
緑色に茂る葉の色合いを、
窓枠で切り取りました。












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〔02〕


何やらとっても素敵な輝きがあります。












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〔03〕


数日前に見た、
同じような丸い小さな鏡を家中に貼り付けた作品を思い出しました。












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〔04〕


光を受けて輝く鏡。
光った鏡が映った鏡。
色を拾って輝く鏡。












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〔05〕

座りたいという椅子ではありませんが、
見ていて楽しい椅子です。












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〔06〕


実は、この作品は、
今回の芸術祭の為に造られた新しい作品で、
ガイドブックにも大きく取り扱っていて、
巻頭を飾る特集ページにも紹介されていて、
その作品の金属質の質感と造形が、
嘗て医者が住んでいた家屋を使って展示されているとのことで、
その作品の意図と空間の関係性に興味を持ち、
何よりもそこにある写真に心惹かれ、
私としては一番期待度の高い作品であったのです。

そのガイドブックに出ていた作品がいつ出てくるのかと期待を込めて、
医者であった家屋の部屋を進んで行くのですが、
なかなかその作品の部屋に辿り着くことが出来ません。
途中からこの家屋の一体どこにあのような作品を展示する空間があるのだろうかと、
不思議な気持ちを抱いていましたが、
終ぞ、あのガイドブックに出ていた作品に出会う事がなく、
最初の写真を撮った廊下に行き当たり、
ここにはガイドブックに出ていたあの作品が無いことを知りました。

つまり、あのガイドブックに出ていた作品の写真は、
作家が以前発表した、
作家を紹介する際の代表的な作品として掲載されていたのです。
私の勝手な思い込みかもしれません。
もしかすると現代アートに興味を持つ者であれば、
誰もが知っている作家とその作品なのかもしれませんが、
誤解を招かない為の目立つような断り書きもないので、
恐らく私と同じような勘違いをされた方はいらっしゃると思います。
ここに展示された作品が全く良くなかったと言うわけではないのですが、
あまりにも期待が大きかっただけに、
私は随分落胆しました。

今回は、ガイドブックに他の作品が掲載されていて、
実際の展示会場では全く違った作品が展示されていたという場面が、
ここで二つ目となりました。
作品によっては芸術祭開催寸前まで作品製作を行っている場合があり、
ガイドブックの印刷には間に合わない事情は理解できたとしても、
以前の作品を大々的に掲載して、
芸術祭の目玉扱いする作家の紹介で、
展示されない作品を掲載することは避けた方が良いと思います。
別の作品を掲載する場合は、
その旨をはっきりと記載するべきだと思いまし、
次回からは十分注意してガイドブックを見たいと思います。












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〔07〕


望遠ズーム一本しかなく、
家屋の狭い空間に作品が展示されているので、
他の作品を写真に撮ることは諦めました。












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〔08〕


最初の部屋の作品は真っ暗な部屋の床に作品が埋め込まれ、
僅かな灯りの照明で照らされていたので、
撮影禁止でした。
仕方が無いので古い家屋の写真を撮りました。












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〔09〕


夏の風物詩の蚊取り線香も、
この日は雨降りで、
夏の面影が薄く、
線香は焚かれていませんでした。












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〔10〕


松ぼっくり。
意気消沈してカメラの操作も手に付かず。
思い通りに写真を撮る事が出来ませんでした。












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〔11〕


二つ目の作品。

残念ながらこちらの作品は撮影禁止です。
その理由は、
古い家屋一間を一階の床から屋根裏まで全ての床を取り払い、
真っ暗な一つの空間に下から上に時折吐き出される煙が立ち登るという、
繊細な作品であり、
撮影可能にしたならば、
きっと多くの人のフラッシュで作品が台無しになってしまうは容易に想像できるので、
私も撮影禁止の方が落ち着いて鑑賞する事が出来るので、
撮影禁止を不快には思いません












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〔12〕


仕方がないので、
その作品のある家の周りを撮影しました。












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〔13〕


丁度この時は雨が止んでいて、
葉の上に乗った雨粒の写真を撮りました。












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〔14〕


小さな池の蓮。
その水面に伸びる蓮の茎。












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〔15〕


前の作品の直ぐ近くにある、
小さな納屋の中に展示された作品です。
入り口に掛けられた紺色の地に白い繭が染められた暖簾が、
来場者を迎えてくれます。












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〔16〕


題名は「誰が袖」。
暖簾を潜り通路を進んだ先、
薄暗い空間に木彫りされていました。












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〔17〕


その先を曲がると小さな空間に、
斯様な着物と絹糸がありました。












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〔18〕


全く想像していなかった空間と作品に心惹かれました。












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〔19〕


他の鑑賞者が居なくなるのを待ちながら、
たくさんの写真を撮りました。












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〔20〕


この日、自分の失敗を始め様々な障害に、
作品の写真撮影への心が折れていましたが、
ここで少し撮影への意欲が湧きました。












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〔21〕


基本的に白一色。
そこにも様々な色と質感があります。












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〔22〕


そして、
諸処に様々な表情があります。












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〔23〕


川が流れるような印象。
光の扱いが繊細で美しい。












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〔24〕


露出を切り詰めて、
自分なりの印象で切り取ります。












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〔25〕


普段はあまり興味を持たない被写体なのですが、












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〔26〕


久し振りに美しい着物と出会いました。












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〔27〕


正直に言うと、
この作品は駐車場を挟んで前の作品と向かい合ってあり、
ここを訪れたのは前の作品に大きな期待を抱いて来たので、
一日の時間配分して鑑賞するのを止めようかと思っていたのですが、












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〔28〕


こちらは有名な作家の作品展示会場です。
恐らく小学校の分校と思われる小さな木造校舎展開される作品です。












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〔29〕


こうして紙工作が出来たなら、
きっと楽しいのだろうと思いました。












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〔30〕


窓枠に置かれた色鉛筆。
この日の雨に色が滲んで見えます。












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〔31〕


たくさんの画材がありました。
五歳の娘のように想像豊かな絵を描く心を持たない私ですが、
こうした色とりどりの画材が好きです。
嘗ては色鉛筆から透明水彩絵の具やパステルまで、
色々買い込んでは落書きをしたものですが、
ここ十数年はそのような事をする心の余裕がありません。












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〔32〕


縄を綯う機械。
いくつかの教室に、
いくつものモチーフがありました。












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〔33〕


廊下の床に引かれた白線。
六年間に訪れた時より、
廊下の板張りの光は鈍り、
劣化しているように見えました。












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〔34〕


近所の方が届けてくれたのでしょうか。
玄関先のバケツに花がありました。
こうした心遣いに心が温まります。












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〔35〕


日の当たる外壁一面を覆う朝顔。
夏の日射を遮り、
冷房の負荷を低減させるグリーンカーテンの走りのような気がしました。












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〔36〕


分校から急な坂道を歩いて登った先にある作品会場です。
そこには駐車場が無いため、
通常ならその坂道を歩いて往復するのですが、
数日前に雨でぬかるんだその坂道で女性が転げ落ちたということで、
この日は会場で当番をしていた男性から、
上には車で行くよう案内を受け、
本当は行く予定ではなかったのですが、
折角なので訪ねてみることにしました。












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〔37〕


家屋の外壁全面に、
点描のような絵が描かれていました。
これはどのようにして描かれているのか、
近寄って見るまではまったく分かりません。












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〔38〕


マグネットシートを切っては貼り付けるという作業から生まれる作品でした。
家の二階には、
全ての部屋の床、壁と全面鋼板が張られ、
訪れた人が自由にそのマグネットシートを使って絵を描いたり、
メッセージを書いていました。












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〔39〕


山間の鉄筋コンクリート造三階建ての小学校。
最近まで使われていた校舎でしょうか。
けれども、
私が芸術祭でこの学校を訪れるのは三回目ですから、
学校が閉鎖されてから少なくても六年は経っています。
体育館や、教室は作品展示のために、
一部改装されていますが、
そのほとんどは手付かずの状態で、
場所によってはつい最近までそこに、
児童がいたのではないかと錯覚を覚える場所があります。












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〔40〕


体育館のステージ脇の倉庫。
そこにはピアノと体重計が格納されていて、
ピアノの鍵盤蓋は開けられたままで、
白と黒の鍵盤が見えます。












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〔41〕


都市部の大きな学校ではないので、
それほど多くの児童の体重を量ってはいないのでしょう。












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〔42〕


教育目標もそのままに残っていました。
閉校になった学校ですが、
掲示物や備品などは、
結構残されていています。
体育館のステージを挟んで掲げられた校歌の額と、
この教育目標、
昔は簡素な目標だったと感じるのですが、
現在ではどのような目標が掲げられているのでしょうか。












A(4) 妻有 58.JPG
〔43〕


校歌の歌詞。
古い校歌の歌詞には、
地域の特色がふんだんに盛り込まれています。
この歌詞を読めば学校のある土地の姿を、
容易に想い描くことが出来ます。
最近は、こうした古くさい校歌が嫌われ、
新設校では近代的な校歌となっていますが、
自然溢れる田舎の学校では、
こうした歌詞が良く似合うと思う私は古くさい人間でしょうか。












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〔44〕


六年前に訪れた時は、
様々な作品で各教室が埋め尽くされていましたが、
前回からは「アジア映像館」と名付けられ、
アジアの作家による写真を主体に展示されるようになりました。

体育館の大空間は、
前回同様、
中国人による作品で、
大きなプリントが大空間を埋め尽くしていました。
そこには現在の中国の経済力を感じてします。

日本人の作品は、
校舎二階の教室に慎ましく展示されていました。
教室に展示された作品に合わせ、
教室を改装をしたり、
部屋の空間の大きさまで整え、
作品に合わせ照明を設えていたので、
展示空間の作り込みは日本人の繊細さがよく現れていると感じました。












A(4) 妻有 61.JPG

〔45〕


この日はカメラを忘れ、期待した作品に出会う事が出来ず、
その上に度重なる雨に見舞われ、
好きな写真を見ていても心定まらず、
名の知った写真家の写真も展示されていましたが、
心動きませんでした。

この写真展示で自分の好きな写真を、
記憶を留めるために撮りました。












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〔46〕


大きな紙にインクジェットで印刷された写真でしょうか。
屋上の手摺りに無造作に貼り付けてありました。
夏の雨に濡れ、
用紙が水分を吸い込み歪んでいます。
印刷された被写体が雨に流され、












A(4) 妻有 62.JPG
〔47〕


二階まどから見下ろした作品。
校舎向かいの敷地の崖にも、
簡素な杭とベニヤ板に写真が展示されていましたが、
ここもまた露天のため、
写真が歪んでいます。
こうした展示方法が作者の意図なのでしょうか。












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〔48〕


三階窓から見下ろした作品。
その背景には朽ちた廃屋。
廃屋と新しい写真が朽ちていく二つの姿が印象的な光景でした。

自分の住んでいた家が跡形もなく無くなる事は寂しいけれど、
こうした形で残っていることはもっと寂しい事だと思いました。












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〔49〕


廊下で定番の鏡に映る自画像。
この鏡に自分の姿を映すのも三回目。












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〔50〕


時計は8時27分で止まっています。
三年後もここへ来てこの鏡に、
自分の姿を映す事はあるのでしょうか。



九月七日(月) 撮影



三年に一度開催される大地の芸術祭、
この芸術祭は我々夫婦が楽しむ事は勿論ですが、
この芸術祭を通して娘にも現代アートに触れて、
何かを感じ取って、
何かしらの感性を身につけて欲しいと思い、
娘が興味を示しそうな作品を選び、
娘を連れて行ってますが、
大人だけでじっくりと鑑賞したい作品もあるので、
今年は五回の内一回は夫婦二人で出掛けようと計画していました。

開催直後、七月の終わりに出掛けた初日は夏らしい晴天に恵まれましたが、
その後二日目、三日目と雨に降られ、
期待を込めたこの四日目も残念ながら雨に降られてしまいました。

初日にもメモリーカードを忘れるという失敗をしていましたが、
この日はカメラとレンズを忘れるという失敗をしてしまいました。

そのような訳で、
この日は写真を撮る気力を失ってしまい、
作品を落ち着いて鑑賞する事が出来ませんでした。
予定していた時間も超過し、
計画していた昼食処も定休日で、
遅い昼食を食べた後は作品鑑賞を止め、
雨の中帰路に着きました。



    *



今年も残す日曜日はあと二日。
大地の芸術祭記事も五日目を残して年末が迫ってきました。
現在仕事が忙しい上に、
年末は何かと忙しいので、
写真整理の済んでいない五日目の記事を仕上げ、
年内に記事を更新することが出来るかどうか分かりませんが、
何とか芸術祭記事を年内に更新したいと思います。
本記事も、文章の推敲をする時間がありませんので、
誤字脱字などはご容赦下さい。











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