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妻有 [心景]





 越後妻有 大地の芸術祭 2015 五日目




今年開催された「越後妻有 大地の芸術祭 2015」。
今年はしっかりと鑑賞しようと、
事前に購入したガイドブックを元に、
鑑賞したい作品を選択したところ、
五回は足を運ばないとその全てを鑑賞する事が出来ないと判明し、
開催二日目から夏の越後妻有へと足を運ぶこと五回目は、
九月十三日の日曜日の芸術祭最終日に出掛けました。




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この日最初に訪れたのは、
芸術祭の核となる十日町市の南隣、
信濃川を渡った旧川西町にある小さな一軒家でした。
ここには女性日本画家の作品が展示されています。












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〔02〕


障子に描かれた水紋。
柔らかな光に浮かび上がるその姿は、
とても爽やです。












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手を伸ばせば届くところにある自然物がモチーフとなっています。
その形や線から女性の感覚が伝わってきます。












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〔04〕


暗い家屋の奥に、
僅かに届く光。
屏風に描かれたが、
静かに浮かび上がります。












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〔05〕


田植え間もない水田でしょうか。
その苗の姿形がやさしく、美しく
そこを吹き渡る風が心地よく、
私の心の中を吹き抜けていきました。












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〔06〕


通路を挟んで床に置かれた作品は、
いずれも水面を描いたと思われます。
この空間を上手く取り入れた展示だと感心しました。












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〔07〕


その一方の水面は、
雨粒が落ちてできた水紋だと思いました。
水紋が交わる線の輝きに心惹かれました。












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〔08〕


女性特有の感覚。
優しさとか柔らかさを感じ取りました。
しっかりとした技術の下地と技法があり、
この芸術祭における現代アートと一線を画して、
正統な芸術作品でした。

古い家屋の空間を上手く使い、
様々な趣向による表現に、
私はすっかり魅了されてしました。

残念ながらこの画家は、
越後妻有で描く事を願いながらも、
一昨年、急逝しました。
画家の名は「田中 芳」、
越後妻有では卒業制作から晩年までの作品まで展示されていました。
ここ妻有里で初めて出会った画家の作品、
しっかりとした形で記憶に留めたいと、
会場で一冊の画集を手に入れ、
とても爽やかな気持ちでこの一軒家を後にしました。












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〔09〕


この日二つ目の作品も同じく、
旧川西町にある河岸段丘の坂道を登って行った先、
信濃川を望む高台にありました。












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〔10〕


竹で造られた作品がありました。
パターンを変形させる事で造形された通路。
出口の先には信濃川を望む展望が広がっています。












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〔11〕


子供が乗って遊ぶ事が出来るこのような午がたくさんありました。












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〔12〕


三つ目の作品はほど近いところにあるのですが、
一旦坂を下って、
再び坂を登って行きます。

こちらの作品は太陽の強い光を必要とする作品ですが、
残念ながらこの日は雨は降っていないものの、
薄曇りの空模様で、
影が出来るほどの陽差しは無く、
楽しみにしていた作品を鑑賞することが出来ませんでした。
この日は最終日ということで、
作家も現地に居て、
作品の説明をしていたのですが、
何せ夏の強い陽差しが無いので、
ビデオ使って説明をしていたのですが、
夏の光を得る事は出来ませんでした。












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〔13〕


この日四つ目の作品は、
信濃川を渡り、
十日町市の北東の山間にあります。
前回の芸術祭でも印象的だった作品が、
今回の芸術祭でも展示されることになり、
期待の高まる作品です。
前回同様、
このモグラが出迎えてくれました。











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〔14〕


「もぐらの館」。
嘗て小学校であった校舎全体を使ってアート作品が展示されています。












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「モグラ」が住んでいる土の中、
その土を題材にした作品が展示され、
学校が土の美術館と化しています。












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〔16〕


九組の作家、左官職人、写真家、陶芸家が土をテーマに、
様々な手法で表現をしています。












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〔17〕


それぞれの教室に、
様々な作品が展示されています。












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〔18〕


小さな方形に塗り焼かれた土。
作者の郷土と妻有の土を混ぜ合わせた土、
焼くときの温度の違いで様々な色に変化します。












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〔19〕


その色とひび割れの模様、
そして、縁取りの割れと欠けが、
様々な表情を生んでいます。












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〔20〕


土で造られた住居を模した中には、
その土で出来た建物の写真がありました。












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〔21〕


暗い空間の中に、
写真が浮かび上がるのは、
アフリカのマリにある、
日干しレンガを積み上げ、
土を塗られたモスクとのこと。
荒い土壁の隙間から漏れる光は、
まるで夜空の星のようです。












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〔22〕


作品は展示された教室だけではなく、
「モグラの散歩道」と名付けられた廊下も土に占領され、
床、壁、天井にも様々な物で覆われています。












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〔23〕


私にとっては、
こうした何気ない物体の存在が気になります。












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〔24〕


少し柔らかな光に浮かび上がる、
植物の線が気に入り、
何枚も写真を撮りました。












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〔25〕


このような波打つ布が廊下の天井を覆っていました。












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〔26〕


その先にある教室には、
糸を紡ぐときの糸巻き車がありました。
ここの床も植物に覆われていました。












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妻有の様々な草木で染められた布が巻き付けられていました。












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〔28〕


その布は様々な色に染められています。
その色の元はどのような植物だったのでしょうか。












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糸巻きが並び、
か細い骨格に布が巻かれた光景を覗き込みました。












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〔30〕


糸巻きの軸。
自然の中に於いてこのような金属は異質ですが、
その金属の輝きに心惹かれました。












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教室の片隅に、
一時の光が差し込んでいました。












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〔32〕


土の器に一握りの米粒。












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〔33〕


音楽室の床も植物で覆われ、
いくつかのオブジェがありました。












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〔34〕


ピアノの上に置かれた凹みのある球体。
それは球体の凹みなのか、
二つの物体の重なりなのか。












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別のオブジェ。
これは球体の凹み。












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ひび割れがあるので、
焼き物なのででしょうか。












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土の標本。
妻有、全国各地、そして世界の土が標本として展示されています。












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〔38〕


土の中には色々な痕跡があるようです。












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〔39〕


そこには様々な生体があったのでしょう。












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〔40〕


標本は土の断層。
地下をイメージした暗い部屋の中に、
それぞれに設えられた照明で標本が浮かび上がります。












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壁に垂れ落ちる土。
表現手法は多彩です。












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とにかく様々な作品がたくさん展示されています。












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自然光を利用した作品もあります。












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廊下のみならず、
階段室にも作品は展示されています。












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〔45〕


窓を黒い布で塞ぎ、
その布に透過する素材で造られた物体。












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透過する光に、
上手い具合にその質感が浮かび上がります。












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土の中に漏れる光でしょうか。
地中に居る感覚へと誘います。












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〔48〕


こちらでは、
冬に土に張った氷の質感を思い浮かべました。












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〔49〕


階段室の壁に投影されたプロジェクターの映像。
ちょっと室礼して自分の影を落として記念撮影しました。












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〔50〕


一通り作品を鑑賞して順路は体育館へ繋がっていました。
体育館の壁には、
小学生の作品が掲げられていました。
子供達の作品もしっかりと鑑賞しました。












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〔51〕

小学校付近の各集落の住戸数を表示する地図がありました。
過疎化に伴う
奥深い集落の減少数に、
学校周辺部の景色が思い浮かびます。












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〔52〕


この学校の体育館にも校歌の額がありました。
校歌にも地域の様子が浮かび上がります。












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〔53〕


ステージ膜に刺繍された校章は雪の結晶。
妻有は雪深い地域、
雪に埋もれたこの地を想い描きました。


この後、
一旦十日町市に行き昼食を摂り、
三つの作品を鑑賞しましたが写真は割愛します。












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〔54〕


この夏の芸術祭最終日も、
午後になると寂しくなります。
芸術祭の核となる十日町市を後にして、
いつもの帰路とは違う路を辿り、
初めて訪れるこちらもまた閉校した小学校に立ち寄りました。


ここは旧松代町にある旧奴奈川小学校。
ここは芸術祭の作品を展示させる為の空間としてだけでは無く、
地域の価値を実践的に学ぶ学校として生まれ変わっているとのこと。
閉校した学校が何だかの形で使われていく姿に、
少しだけ安堵します。

グラインドの片隅に、
校章をかたどった鉄筋コンクリート製の物体が建っていました。












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〔55〕


学校の昇降口を入った正面の壁には、
一面ベニヤ板が張られ、
そこに黒板の色を想い起こさせる緑色の塗装が施され、
そこに彫刻刀で妻有の山の姿が彫られていました。












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〔56〕


山の姿が一面に彫り込まれています。












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〔57〕


彫刻刀の様々な鑿跡が、
表情豊かに木々を現しています。












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〔58〕


木々の間から田圃を見る事ができます。












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〔59〕


近寄ってその鑿跡を見ると、
真っ直ぐ彫ったり、
曲げて彫ったりしていて、
その鑿跡の違いで表情豊かな画になっていることが分かります。












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その鑿跡に、
彫る人の息遣いを感じました。












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〔61〕


二階の教室。
南向きの窓に設えられた作品が展示されていました。












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〔62〕


素晴らしい発想。
上手い空間を創造していることに感嘆します。












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〔63〕


自分が芸術家でもないのですが、
この作品を見た瞬間、
何だか「やられた」と思いました。
空間構成のアイディアに、
学校にあった物を配置する演出の素晴らしさに、
この夏の芸術祭最後に大きな感動を得ました。












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〔64〕


この作品に魅了され、
たくさんの写真を撮りましたが、
冷静さを失ってしまい、
何処をどう撮って良いのか分からず、
ただ、ただ、シャッターを押しましたが、
上手く切り撮る事が出来ません。












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〔65〕


ガラスには表面加工が施され、
上手い具合に光が和らげられ、
物体の姿も柔らかく浮かび上がります。












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〔66〕


廊下を隔てた北側に面する教室の、
廊下との窓にも同じ手法の作品がありました。












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〔67〕


こちらは北側ということで、
強い自然光を得る事が出来ないため、
人工の光源により物体を浮かび上がらせています。












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〔68〕


こちらの部一体には液体が注がれていて、
その液体の姿が物体の姿と相まって浮かび上がります。












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〔69〕


こちらはガラスの凹凸模様がその映像に変化を与えています。












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〔70〕


透過するガラスに、
透過する物体を配置し、
液体がレンズの役割も果たし、
様々な表情を浮かび上がらせています。












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〔71〕


色の付いた物体もあり、
一様な色合いの中にその色が変化を与えます。












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〔72〕


不透過な物体もありました。












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〔73〕


曲面をすり抜けた光が、
影の輪郭に少しだけ漏れていました。












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〔74〕


別の部屋で出会った作品。
こちらは妻有で取れる作物を使っての作品でした。












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〔75〕


作物の実や種子を使っての作品です。












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細やかで、優しさを感じる作品が教室に展示されていました。












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〔77〕


こちらでは、
香港の中、高校生からの学生を受け入れ、
農業と触れる体験を行っているそうです。
香港は食糧自給率が低く、
これまで農業がほとんど進んできませんでしたが、
近年、農業の必要性を若い世代に浸透させようと、
香港の大学生が日本で農業と触れ合う機会を作ることで、
大学生がその必要性を知ることがあっても、
香港では大学生になってから進路を切り替えようと思っても、
制度上農業に進路を変えることが出来ず、
結果、農業に進路を取る若者が育たないため、
もっと若い世代から農業に触れさせようという試みを行っているそうです。
この夏も、香港の若者がここ妻有で、
日本の農業に触れ合った事を、
芸術祭が終わった後にしりました。












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〔78〕


片隅の教室に広がっていた世界。
夕暮れ近付く教室でのインスタレーション。
この不気味な世界に似合う自然光の演出の中で出会う事ができました。












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〔79〕


机や椅子が変形しています。












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〔80〕


椅子が歪み、
宙に浮いています。












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机が床に埋もれています。












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〔82〕


本も床に埋もれていました。












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〔83〕


残念ながら芸術祭最終日も、
昼頃から雨が降ってきてしまいました。
五回足を運んで天気が良かったのは最初の日だけで、
後の四回は全て雨に見舞われました。

夕方五時少し前。
芸術祭も終わる時間が迫ります。
ふと見た窓の外、
薄暗くなってきた集落に、
芸術祭会場の照明が窓硝子に映り浮かび上がっていました。












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〔84〕


窓を開けて外を見ると、
小さな池に雨が落ちていました。
この日最初に出会った、
画家の水紋を思い出しました。













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〔85〕

暮れゆく学校の側にある、
集落をしばらくぼんやりと眺めていました。

芸術祭が終わる喪失感、
暮れゆく雨模様の冷ややかな空気、
雨に見舞われた残念さ、
家から遠く離れた場所で向かえる夕暮れの寂しさなどが相まって、
歳甲斐もな感傷的な心になっていました。












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〔86〕


雨に濡れた芝生の色が心に染み入ります。

予定では、
この後、古い家屋一軒の内部を隅から隅まで彫刻刀で彫った作品、
「脱皮する家」を見に行く予定でしたが、
予定時間を超過してしまい、
この旧奴奈川小学校がこの芸術祭最後の鑑賞作品となってしまいました。
もう一度見たいと思っていた「脱皮する家」は、
宿泊所として残っているので、
いつかまた訪れる事が出来ます。
正直に言うと、
ここはガイドブックでは立ち寄る事が出来れば良いと思っていたのですが、
思い掛けず素晴らしい作品に出会う事ができたので、
立ち寄ったことに満足する事ができました。












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〔87〕


背景の山に流れる靄。

この芸術祭に撮った最後の写真です。




九月十三日(日) 撮影




この夏の「越後妻有 大地の芸術祭 2015」、
計画的に足を運ぶ事ができたので、
十分に堪能することが出来ました。

芸術祭に足を運ぶには、
車を使うので、
往復約150キロから200キロのガソリン代が必要ですが、
観賞用のパスポートは、
どの作品、会場も1回に鑑賞に限りますが、
1名分3、000円ですから、
これだけの作品を鑑賞して3,000円ですから、
入場料としては破格と言えるでしょう。
また、小学生以下は無料ですから、
子供を連れて鑑賞しても懐が痛むことが無く、
幼少の子供から現代アートに触れ、
何かしら感じ取る体験ができるので、
親としても好都合ですし、
現代アートを楽しむ底辺が増え、
いずれ作家が生まれる事を期待しての、
主催者側の取り計らいを歓迎します。

五日目の記事は二回に分けて仕立てようと思いましたが、
年内に更新する見込みが無くなったので、
大量の写真となりますが一つの記事にまとめました。
長い記事にお付き合い頂きありがとうございました。

さて、年内の記事更新もこれで終わりになりそうです。
今年一年、
特に後半は週に一度のブログ更新となってしまい、
一年における記事の数はこれまでで一番少なくなってしまったようです。
夏の終わりから秋にかけて、
記事にはしていない写真がたくさんあるのですが、
年明けからもまた新しい仕事に着任するため、
雪消えまでは写真を撮る機会が少なくなると思われるため、
新年からはその写真を小出しに記事にして行きたいと思います。

明日一日仕事に行って仕事納めです。
天皇誕生日と昨日の二日で家の大掃除もほぼ終わりました。
この年末は早めに家の用事を片付け、
外出もせず、
家族揃って家でゆっくりとする計画です。

私的な記録用の写真ブログに、
今年もたくさん方からご訪問頂き、
多くの方から稚拙な写真をご覧頂きました。
めいめいには申し上げる事が出来ませんが、
この場をお借りしてお礼申し上げます。
また、皆様方にとって新しい年が、
良い年になる事が出来ることをお祈りいたします。










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妻有 [心景]




 越後妻有 大地の芸術祭 2015 四日目



芸術祭に出掛ける事四回目の四日目。
この日も生憎の雨模様となってしました。
一回くらいは妻と二人で作品巡りをしようということで、
この日は平日に代休を取得し、
娘を幼稚園に送り出してから妻有へと向かいました。

この日最初の作品は、
今回の芸術祭に於いて私が期待していた作品で、
ここはじっくりと鑑賞しようと、
何度も前を通っていたにも関わらず、
妻と二人だけで出掛けるまで見送ってきた作品です。

開場時間の10時少し前に到着し、
車の中からカメラを取り出そうとしたところ、
積んだはずのカメラ一台が見当たりません。
出掛ける前の慌ただしさに玄関先に用意していおいたカメラを、
積み忘れて来たのです。

芸術祭ではいつもの撮影と同じく、
一眼二台にそれぞれ広角と望遠ズームを付け、
レンズ交換のストレスがないように撮影していました。
この日広角ズームを装着したカメラを忘れてきてしまったので、
望遠ズーム一本のみでの撮影となってしまい、
大きく落胆しました。
その上に、この日も雨。
カメラを忘れたことと相まって撮影意欲は消沈しました。




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〔01〕

この日最初の作品は、
嘗て医者が住んでいた家屋で繰り広げられるアート作品です。

二階廊下の突き当たりにある窓からの眺め。
展望は開けていないが、
杉の木が真っ直ぐに伸びる幹と、
緑色に茂る葉の色合いを、
窓枠で切り取りました。












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〔02〕


何やらとっても素敵な輝きがあります。












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〔03〕


数日前に見た、
同じような丸い小さな鏡を家中に貼り付けた作品を思い出しました。












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〔04〕


光を受けて輝く鏡。
光った鏡が映った鏡。
色を拾って輝く鏡。












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〔05〕

座りたいという椅子ではありませんが、
見ていて楽しい椅子です。












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〔06〕


実は、この作品は、
今回の芸術祭の為に造られた新しい作品で、
ガイドブックにも大きく取り扱っていて、
巻頭を飾る特集ページにも紹介されていて、
その作品の金属質の質感と造形が、
嘗て医者が住んでいた家屋を使って展示されているとのことで、
その作品の意図と空間の関係性に興味を持ち、
何よりもそこにある写真に心惹かれ、
私としては一番期待度の高い作品であったのです。

そのガイドブックに出ていた作品がいつ出てくるのかと期待を込めて、
医者であった家屋の部屋を進んで行くのですが、
なかなかその作品の部屋に辿り着くことが出来ません。
途中からこの家屋の一体どこにあのような作品を展示する空間があるのだろうかと、
不思議な気持ちを抱いていましたが、
終ぞ、あのガイドブックに出ていた作品に出会う事がなく、
最初の写真を撮った廊下に行き当たり、
ここにはガイドブックに出ていたあの作品が無いことを知りました。

つまり、あのガイドブックに出ていた作品の写真は、
作家が以前発表した、
作家を紹介する際の代表的な作品として掲載されていたのです。
私の勝手な思い込みかもしれません。
もしかすると現代アートに興味を持つ者であれば、
誰もが知っている作家とその作品なのかもしれませんが、
誤解を招かない為の目立つような断り書きもないので、
恐らく私と同じような勘違いをされた方はいらっしゃると思います。
ここに展示された作品が全く良くなかったと言うわけではないのですが、
あまりにも期待が大きかっただけに、
私は随分落胆しました。

今回は、ガイドブックに他の作品が掲載されていて、
実際の展示会場では全く違った作品が展示されていたという場面が、
ここで二つ目となりました。
作品によっては芸術祭開催寸前まで作品製作を行っている場合があり、
ガイドブックの印刷には間に合わない事情は理解できたとしても、
以前の作品を大々的に掲載して、
芸術祭の目玉扱いする作家の紹介で、
展示されない作品を掲載することは避けた方が良いと思います。
別の作品を掲載する場合は、
その旨をはっきりと記載するべきだと思いまし、
次回からは十分注意してガイドブックを見たいと思います。












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〔07〕


望遠ズーム一本しかなく、
家屋の狭い空間に作品が展示されているので、
他の作品を写真に撮ることは諦めました。












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〔08〕


最初の部屋の作品は真っ暗な部屋の床に作品が埋め込まれ、
僅かな灯りの照明で照らされていたので、
撮影禁止でした。
仕方が無いので古い家屋の写真を撮りました。












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〔09〕


夏の風物詩の蚊取り線香も、
この日は雨降りで、
夏の面影が薄く、
線香は焚かれていませんでした。












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〔10〕


松ぼっくり。
意気消沈してカメラの操作も手に付かず。
思い通りに写真を撮る事が出来ませんでした。












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〔11〕


二つ目の作品。

残念ながらこちらの作品は撮影禁止です。
その理由は、
古い家屋一間を一階の床から屋根裏まで全ての床を取り払い、
真っ暗な一つの空間に下から上に時折吐き出される煙が立ち登るという、
繊細な作品であり、
撮影可能にしたならば、
きっと多くの人のフラッシュで作品が台無しになってしまうは容易に想像できるので、
私も撮影禁止の方が落ち着いて鑑賞する事が出来るので、
撮影禁止を不快には思いません












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〔12〕


仕方がないので、
その作品のある家の周りを撮影しました。












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〔13〕


丁度この時は雨が止んでいて、
葉の上に乗った雨粒の写真を撮りました。












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〔14〕


小さな池の蓮。
その水面に伸びる蓮の茎。












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〔15〕


前の作品の直ぐ近くにある、
小さな納屋の中に展示された作品です。
入り口に掛けられた紺色の地に白い繭が染められた暖簾が、
来場者を迎えてくれます。












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〔16〕


題名は「誰が袖」。
暖簾を潜り通路を進んだ先、
薄暗い空間に木彫りされていました。












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〔17〕


その先を曲がると小さな空間に、
斯様な着物と絹糸がありました。












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〔18〕


全く想像していなかった空間と作品に心惹かれました。












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〔19〕


他の鑑賞者が居なくなるのを待ちながら、
たくさんの写真を撮りました。












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〔20〕


この日、自分の失敗を始め様々な障害に、
作品の写真撮影への心が折れていましたが、
ここで少し撮影への意欲が湧きました。












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〔21〕


基本的に白一色。
そこにも様々な色と質感があります。












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〔22〕


そして、
諸処に様々な表情があります。












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〔23〕


川が流れるような印象。
光の扱いが繊細で美しい。












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〔24〕


露出を切り詰めて、
自分なりの印象で切り取ります。












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〔25〕


普段はあまり興味を持たない被写体なのですが、












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〔26〕


久し振りに美しい着物と出会いました。












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〔27〕


正直に言うと、
この作品は駐車場を挟んで前の作品と向かい合ってあり、
ここを訪れたのは前の作品に大きな期待を抱いて来たので、
一日の時間配分して鑑賞するのを止めようかと思っていたのですが、












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〔28〕


こちらは有名な作家の作品展示会場です。
恐らく小学校の分校と思われる小さな木造校舎展開される作品です。












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〔29〕


こうして紙工作が出来たなら、
きっと楽しいのだろうと思いました。












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〔30〕


窓枠に置かれた色鉛筆。
この日の雨に色が滲んで見えます。












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〔31〕


たくさんの画材がありました。
五歳の娘のように想像豊かな絵を描く心を持たない私ですが、
こうした色とりどりの画材が好きです。
嘗ては色鉛筆から透明水彩絵の具やパステルまで、
色々買い込んでは落書きをしたものですが、
ここ十数年はそのような事をする心の余裕がありません。












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〔32〕


縄を綯う機械。
いくつかの教室に、
いくつものモチーフがありました。












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廊下の床に引かれた白線。
六年間に訪れた時より、
廊下の板張りの光は鈍り、
劣化しているように見えました。












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〔34〕


近所の方が届けてくれたのでしょうか。
玄関先のバケツに花がありました。
こうした心遣いに心が温まります。












A(4) 妻有 48.JPG
〔35〕


日の当たる外壁一面を覆う朝顔。
夏の日射を遮り、
冷房の負荷を低減させるグリーンカーテンの走りのような気がしました。












A(4) 妻有 53.JPG

〔36〕


分校から急な坂道を歩いて登った先にある作品会場です。
そこには駐車場が無いため、
通常ならその坂道を歩いて往復するのですが、
数日前に雨でぬかるんだその坂道で女性が転げ落ちたということで、
この日は会場で当番をしていた男性から、
上には車で行くよう案内を受け、
本当は行く予定ではなかったのですが、
折角なので訪ねてみることにしました。












A(4) 妻有 51.JPG
〔37〕


家屋の外壁全面に、
点描のような絵が描かれていました。
これはどのようにして描かれているのか、
近寄って見るまではまったく分かりません。












A(4) 妻有 50.JPG
〔38〕


マグネットシートを切っては貼り付けるという作業から生まれる作品でした。
家の二階には、
全ての部屋の床、壁と全面鋼板が張られ、
訪れた人が自由にそのマグネットシートを使って絵を描いたり、
メッセージを書いていました。












A(4) 妻有 59.JPG

〔39〕


山間の鉄筋コンクリート造三階建ての小学校。
最近まで使われていた校舎でしょうか。
けれども、
私が芸術祭でこの学校を訪れるのは三回目ですから、
学校が閉鎖されてから少なくても六年は経っています。
体育館や、教室は作品展示のために、
一部改装されていますが、
そのほとんどは手付かずの状態で、
場所によってはつい最近までそこに、
児童がいたのではないかと錯覚を覚える場所があります。












A(4) 妻有 56.JPG
〔40〕


体育館のステージ脇の倉庫。
そこにはピアノと体重計が格納されていて、
ピアノの鍵盤蓋は開けられたままで、
白と黒の鍵盤が見えます。












A(4) 妻有 57.JPG
〔41〕


都市部の大きな学校ではないので、
それほど多くの児童の体重を量ってはいないのでしょう。












A(4) 妻有 55.JPG
〔42〕


教育目標もそのままに残っていました。
閉校になった学校ですが、
掲示物や備品などは、
結構残されていています。
体育館のステージを挟んで掲げられた校歌の額と、
この教育目標、
昔は簡素な目標だったと感じるのですが、
現在ではどのような目標が掲げられているのでしょうか。












A(4) 妻有 58.JPG
〔43〕


校歌の歌詞。
古い校歌の歌詞には、
地域の特色がふんだんに盛り込まれています。
この歌詞を読めば学校のある土地の姿を、
容易に想い描くことが出来ます。
最近は、こうした古くさい校歌が嫌われ、
新設校では近代的な校歌となっていますが、
自然溢れる田舎の学校では、
こうした歌詞が良く似合うと思う私は古くさい人間でしょうか。












A(4) 妻有 60.JPG
〔44〕


六年前に訪れた時は、
様々な作品で各教室が埋め尽くされていましたが、
前回からは「アジア映像館」と名付けられ、
アジアの作家による写真を主体に展示されるようになりました。

体育館の大空間は、
前回同様、
中国人による作品で、
大きなプリントが大空間を埋め尽くしていました。
そこには現在の中国の経済力を感じてします。

日本人の作品は、
校舎二階の教室に慎ましく展示されていました。
教室に展示された作品に合わせ、
教室を改装をしたり、
部屋の空間の大きさまで整え、
作品に合わせ照明を設えていたので、
展示空間の作り込みは日本人の繊細さがよく現れていると感じました。












A(4) 妻有 61.JPG

〔45〕


この日はカメラを忘れ、期待した作品に出会う事が出来ず、
その上に度重なる雨に見舞われ、
好きな写真を見ていても心定まらず、
名の知った写真家の写真も展示されていましたが、
心動きませんでした。

この写真展示で自分の好きな写真を、
記憶を留めるために撮りました。












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〔46〕


大きな紙にインクジェットで印刷された写真でしょうか。
屋上の手摺りに無造作に貼り付けてありました。
夏の雨に濡れ、
用紙が水分を吸い込み歪んでいます。
印刷された被写体が雨に流され、












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〔47〕


二階まどから見下ろした作品。
校舎向かいの敷地の崖にも、
簡素な杭とベニヤ板に写真が展示されていましたが、
ここもまた露天のため、
写真が歪んでいます。
こうした展示方法が作者の意図なのでしょうか。












A(4) 妻有 66.JPG
〔48〕


三階窓から見下ろした作品。
その背景には朽ちた廃屋。
廃屋と新しい写真が朽ちていく二つの姿が印象的な光景でした。

自分の住んでいた家が跡形もなく無くなる事は寂しいけれど、
こうした形で残っていることはもっと寂しい事だと思いました。












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〔49〕


廊下で定番の鏡に映る自画像。
この鏡に自分の姿を映すのも三回目。












A(4) 妻有 63.JPG
〔50〕


時計は8時27分で止まっています。
三年後もここへ来てこの鏡に、
自分の姿を映す事はあるのでしょうか。



九月七日(月) 撮影



三年に一度開催される大地の芸術祭、
この芸術祭は我々夫婦が楽しむ事は勿論ですが、
この芸術祭を通して娘にも現代アートに触れて、
何かを感じ取って、
何かしらの感性を身につけて欲しいと思い、
娘が興味を示しそうな作品を選び、
娘を連れて行ってますが、
大人だけでじっくりと鑑賞したい作品もあるので、
今年は五回の内一回は夫婦二人で出掛けようと計画していました。

開催直後、七月の終わりに出掛けた初日は夏らしい晴天に恵まれましたが、
その後二日目、三日目と雨に降られ、
期待を込めたこの四日目も残念ながら雨に降られてしまいました。

初日にもメモリーカードを忘れるという失敗をしていましたが、
この日はカメラとレンズを忘れるという失敗をしてしまいました。

そのような訳で、
この日は写真を撮る気力を失ってしまい、
作品を落ち着いて鑑賞する事が出来ませんでした。
予定していた時間も超過し、
計画していた昼食処も定休日で、
遅い昼食を食べた後は作品鑑賞を止め、
雨の中帰路に着きました。



    *



今年も残す日曜日はあと二日。
大地の芸術祭記事も五日目を残して年末が迫ってきました。
現在仕事が忙しい上に、
年末は何かと忙しいので、
写真整理の済んでいない五日目の記事を仕上げ、
年内に記事を更新することが出来るかどうか分かりませんが、
何とか芸術祭記事を年内に更新したいと思います。
本記事も、文章の推敲をする時間がありませんので、
誤字脱字などはご容赦下さい。











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妻有 [心景]





 越後妻有 大地の芸術祭 2015 三日目 (その二)




夏の最中に開催される大地の芸術祭、
これまでの記事で何度も書きましたが、
今年、私が出掛ける日は天候に恵まれず、
この日も朝から小雨が降っていました。
途中松之山では霧に包まれ、
夏とは思えない景色の中を山越えをして津南へとやってきました。
天候が悪くても、
昼食には出掛けた先の美味いものを食したいという願いを叶えるため、
出掛ける前には食事処の目星を付けて出掛けるのですが、
この日は津南名物の妻有ポークのかつ丼などを食べる目論見でしたが、
目当ての店は12時前というのに既に店は満席の上並んでいる人もいて、
時間の限られた作品巡り故、
この日はかつ丼を諦め近くの蕎麦屋で蕎麦を食しました。
残念ながら店構えに合った蕎麦を食べる事が出来ず、
空模様と合わせ意気消沈。
食後は気を取り直して途中で見かけた造り酒屋に立ち寄り、
期待の出来そうな日本酒を買い込み午後の作品巡りへと出発しました。




C 妻有 34.JPG
〔01〕


造り酒屋から十数メートル。
あっという間に目的の作品会場に到着しました。
しかし、到着したと同時に雨が本降りとなりました。

こちらの作品は、
嘗て旅館だった建物を使って展示されていて、
玄関は営業されていたそのままなので、
受付もフロント風情。
案内されるままに右手の廊下を進むと、
ピンポン球のような球が空間を滑るように転がっているという、
不思議な空間が広がっていました。
目立たないテグスを二本、緩やかに傾斜を付けて張り、
その上をピンポン球が転がっていくという仕掛けが縦横無尽に転がるように張り巡らされ、
緩やかにいくつものピンポン球が転がっている光景は見ていて飽きることがありません。

その発想や仕掛けに感服し呆然と眺めるのですが、
その光景を上手く写真に撮ろうという思いが、
昼食と天候による気落ちからカメラを操作する意欲が湧かず、
シャッターを押せどまともな写真を撮る事が出来ず、
皆様にこの作品を伝えることが出来ない事が残念でなりません。












C 妻有 30.JPG
〔02〕


廊下に洗濯ばさみで留められているこれらの物体は一体何なのか。
ピンポン球の転がる脇にある扉を開けて部屋に踏み入るとその答えが分かります。












B 妻有 04.JPG
〔03〕


その部屋にはこのような影絵が繰り広げられていました。












B 妻有 05.JPG
〔04〕


様々な絵柄が白い布に映し出されています。












B 妻有 11.JPG
〔05〕


影絵の仕掛けはこのようになっています。












B 妻有 13.JPG
〔06〕


光源の周りに絵柄のプレートが吊らされ、












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〔07〕


勢いよく回転しています。












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〔08〕


私がこの影絵の空間で感じた事は、
影絵の仕掛けやその絵柄のおもしろさ以上に、
この部屋が旅館の大広間であり、
嘗ては地元の人の結婚式披露宴などが繰り広げられた場所であることが、
影絵の仕掛け以外にはそのそつない装飾に一切手が加えられて居らず、
現代アートとの一切関係性のないその点です。
カーペットに染みがあったりして、
この場所での時間と冠婚葬祭の宴、
そして衰退したこの旅館の現状。
現代アートの作品を楽しみつつも、
何か心を動かされる姿がそこにありました。












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〔09〕


記念に自分の姿をその影絵の布に映しました。












C 妻有 33.JPG
〔10〕


会場の案内に従い嘗て旅館だった二階へと導かれました。












B 妻有 14.JPG
〔11〕


二階は宿泊する客室がいくつかあり、
それらの部屋はまだ古びてはおらず、
最近まで営業されていたことが窺えます。












B 妻有 16.JPG
〔12〕


その客室にそれぞれ現代アートの様々な仕掛けがありました。













B 妻有 15.JPG
〔13〕


そのひとつの部屋で記念写真をとりました。












B 妻有 17.JPG
〔14〕


二階の作品鑑賞を終え、
再び一階へと降りる階段にて。
壁に貼ってある写真は、
地元の子供が変装した顔写真のようです。












B 妻有 20.JPG
〔15〕


玄関フロントを通り過ぎ、
左奥へと導かれ、
この会場の目当ての作品を鑑賞します。

そこには「Light Book 北越雪譜」という作品が展示されています。


北越雪譜』(ほくえつせっぷ)は、江戸後期における越後魚沼雪国の生活を活写した書籍。初編3巻、二編4巻の計2編7巻。の結晶のスケッチ(雪華図説からの引用)から雪国の風俗・暮らし・方言・産業・奇譚まで雪国の諸相が、豊富な挿絵も交えて多角的かつ詳細に記されており、雪国百科事典ともいうべき資料的価値を持つ。著者は、現在の南魚沼市塩沢で縮仲買商・質屋を営んだ鈴木牧之1837年天保8年)に江戸で出版されると当時のベストセラーとなった。
〔※Wikipedia (https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E8%B6%8A%E9%9B%AA%E8%AD%9C)より転載〕



真っ暗なそれほど大きくはない二間続きの和室に、
小さな机の上にやや大きな「北越雪譜」が置いてあります。
天井から一灯の明かりによりそのページが照らされています。












B 妻有 34.JPG
〔16〕


そのページを開き、
絵柄のページが出てくると、
不思議なことにその絵のページから光による雪の結晶が浮かび上がってきました。










B 妻有 35.JPG
〔17〕


浮かび上がった雪の結晶は、
本の前方上に向かって移動して行きます。












B 妻有 26.JPG
〔18〕


別の絵柄のページを開くと、
今度はそこに描かれた人物などが浮かび上がってきました。












B 妻有 27.JPG
〔19〕


こちらも同じように、
本の前方、上に向かってその絵が登っていきます。












B 妻有 28.JPG
〔20〕


ページを素早く捲ると、
雪の結晶と登場人物が一緒に浮かび上がり登っていきます。












B 妻有 29.JPG
〔21〕


本のページと何かの装置が連動していて、
絵柄のページを開くとこうした光の絵柄が浮かび上がるようです。












B 妻有 30.JPG
〔22〕


その仕掛けが面白く、
何度も何度もその本のページを捲っては、
たくさん写真を撮りました。












B 妻有 31.JPG
〔23〕


この真っ暗な空間に光の絵柄が登っていく仕掛けは見事です。












B 妻有 37.JPG
〔24〕


左側からその光の絵柄が登っていく姿を見ます。
本を開く者から見る事が出来る光の絵柄の下に、
もう一つ光の絵柄が映っている事が分かります。












B 妻有 39.JPG
〔25〕


その仕掛けは、
本の前方にはその存在を希薄にする為の薄い布が張られていて、
その布に光の絵柄が映し出され、
薄い布を透過した絵柄が床の畳の上にも映っていたのです。












B 妻有 40.JPG
〔26〕


右側から見るとこのようになっています。
薄い布は押入の襖に辿り着き、
畳を這った光の絵柄は最後はその襖に映ります。












C 妻有 35.JPG
〔27〕



本から浮かび上がった光の絵柄が登り詰めるその先には、
そのページの題名でしょうか、
ここにも光の文字が映し出されます。












B 妻有 45.JPG
〔28〕


この仕掛けの部屋の左手には障子窓があり、
時折この障子窓に雪が降る姿が映ります。












B 妻有 32.JPG
〔29〕


黒い障子窓に映る白い雪は、
実際にはある姿ではないのでしょうが、
この真っ暗な空間に設えられた「北越雪譜」には、
とてもよく合う演出で感動しました。


嘗て旅館であった建物を使っての現代アート展示、
様々な仕掛けと出会う事が出来ました。
作品鑑賞を終え外に出ると土砂降りの雨。
この後この日一番遠くへ行かなければならないので、
心は沈み込みます。
予定時間より少し遅れていたので、
屋外展示の作品はいくつかを諦め、
清津峡へと向かって出発しました。












D 妻有 10.JPG
〔30〕


清津峡にある嘗て小学校であった体育館。
大地の芸術祭の作品倉庫として改修工事を行い、
芸術祭期間中は、
そこにも作品を展示してありました。







D 妻有 11.JPG
〔31〕


公式ガイドブックの写真では、
その改修工事により、
アート作品を展示する為のスペースに相応しく、
四面の壁はコンクリート打ち放しとなり、
その空間自体に興味を持ち、
この芸術祭に於いては自宅から一番遠い場所ですが、
足を運びました。



D 妻有 13.JPG
〔32〕


実際に訪れたこの倉庫、
ガイドブックで見て想像していた空間とは違い、
思いのほか狭い空間でした。
考えてみれば山奥の小さな小学校の体育館ですから、
私が勝手に勘違いしていただけなのです。












D 妻有 12.JPG
〔33〕


こちらの会場の駐車場は、
体育館の前にある嘗てグラウンドだった場所。
当然雨が降るとぬかるみとなり、
車を降りると足場の悪いところを歩かないといけません。
この会場だけではなく、
多くの会場は土の駐車場があり、
ひとたび雨が降ると車のタイヤは泥だらけ、
履き物は汚れ心は乱れ、
作品鑑賞の気持ちが落ち込みます。












D 妻有 01.JPG
〔34〕


ここに到着した時も、
雨はしっかりと降っていて、
多くの人の履き物は泥だらけでした。
私は防水の効いたスニーカーを履き、
娘は長靴を用意してきたので、
幸足回りは酷いことにはなりませんでしたが、
多くの人は履き物がずぶ濡れとなっていました。












D 妻有 02.JPG
〔35〕


車からカメラを持って降りる事が億劫になり、
しっかりとした写真を撮る事は諦めました。
ここからはコンパクトカメラ一台を携えての作品鑑賞となりました。












D 妻有 25.JPG
〔36〕


体育館を作品保管と展示の為に
















D 妻有 09.JPG
〔37〕


体育館を作品保管と展示の為に改修された空間に、
思っていたいたよりもしっかりとした作品が展示されていました。












D 妻有 03.JPG
〔38〕


薄暗い空間に作品が静かに座していました。












D 妻有 04.JPG
〔39〕


黒い炭。
外が暗ければ、
作品も暗い。












D 妻有 05.JPG
〔40〕


心がざわめきます。












D 妻有 06.JPG
〔41〕


時間に制約があり、
時計を気にしての作品鑑賞でした。
天候の具合が悪く、
心は沈み落ち着いて作品鑑賞ができません。
八月のまだそれほど遅い時間ではないので、
外は薄暗く、
時間を気にして雨中の路を運転し、
いくつかの山越えをしての帰路を考えると、
一層心は沈むのでした。












D 妻有 20.JPG
〔42〕


この日予定していた作品は一応すべて鑑賞し、
帰路にいくつか立ち寄り鑑賞できれば良いかと思っていましたが、
天気が悪く、
大地の芸術祭でも有名な作品の直ぐ脇を通っても、
車を停めることなく脇目に見るだけで帰路を急ぎました。












D 妻有 19.JPG
〔43〕


そんな中で、一つだけ意を決して立ち寄った作品は、
一筋の川の脇にある鉄を使っての作品でした。
作品を展示したスペースは白い砂利が敷き詰められ、
空間を仕切るように鉄の壁が設えられていて、
その赤錆色の壁で仕切られた空間には、
いくつかの室礼があり、
その感覚がよく伝わって来るのですが、
制作されてから数年経ていて多少作品に衰えが見られ、
更に生憎の雨と風で枝葉が散乱している様に、
作品本来の美しさや意図が薄まって目に映ります。


ここには、
川に向かって大きなタイヤがチェーンで吊り下げられたブランコがありました。
この日は天候に恵まれず、
快適な作品鑑賞とはなりませんでしたが、
娘は疲れも見せず、
そのブランコを楽しそうに乗りはしゃいでいました。
親の沈んだ心には、
その笑顔がせめてもの救いであり、
宥めてくれるのでした。




八月三十日(日) 撮影



さて、年内仕事に追われ、
ブログの記事を仕立てる時間がありませんし、
写真を撮る暇など全くありません。
きっと年内に芸術祭の記事を完結させる事は出来ないでしょう。
ということで、
本記事も写真を選択し、
ここまで文章を書く添えるのがやっとです。
推敲なしの書き下ろし、
文章の意味不明、
誤字脱字はどうかご容赦下さい。






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