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妻有 [心景]





 2012 越後妻有「大地の芸術祭」の記憶 その五




この作品は、
と言うよりも、
この空間が好きです。

此処に来るのは二度目ですが、
二度訪れるならば、
新たな作品を求めて他へ行った方が良いという考えも頭の中には浮かびますが、
再びここへ足を運ばせる力をこの作品が持っているという事です。
実際、この年も大変多くの人が訪れていました。
大変人気のある作品のようです。

この作品は、
閉校になった校舎全体を使っての構成となっています。
先ず足を運び入れるのは校舎の昇降口ではなく、
外光を遮断した体育館、
出入り口を覆う暗幕を潜ってその空間へと入り込みます。


夏の強い光に晒されてきた眼は、
すぐにこの暗い空間に順応することが出来ず、
私は動くことが出来ず、
壁に添ってしばらく立ち尽くします。
先にこの空間に入っている人たちが、
私の傍を動いていますが、
私の暗順応は遅く動くことが出来ず、
少々焦りを感じました。

また、一歩この空間に足を運び入れた時から、
稲わらの匂いが私の花を付いています。
この閉じ込められ、
熱気を帯びた空間に稲わらの匂いが立ち込めています。

その稲わらは体育館の床一面に、
割合厚く敷き詰められていて、
暗さによる不安な視覚と、
足裏の不安定な感覚が相まって、
この空間から受ける刺激は最初から最高潮に達します。

しばらくして、
真っ暗な体育館に電球が浮かんでいるのが眼に留まります。
そして耳には扇風機の羽が回る音が届きます。


多くの感覚を刺激されてこの空間を彷徨います。


最初にこの空間へ足を入れた時の感覚は、
ことのほかよく覚えていて、
六年経った今でもその感覚を忘れることがありません。




B9月8日 34.JPG
〔01〕


この空間が体育館に設えられた空間です。
写真に撮ると扇風機や壁が写っていますが、
見た目には電球が点として見えるだけで、
その他は真っ暗で、
ただただ黒い空間です。












B9月8日 29.JPG
〔02〕


この暗い空間ではストロボの光も役に立たず、
どう写真を撮ってもブレるので、
ブラして撮るしかありません。












B9月8日 35.JPG
〔03〕


中央付近の明るいところが体育館の出入り口で、
人が出入りするときのみ、
外光の強い光が入り込みます。
ただ、それは入口付近を明るくするだけで、
体育館全体を明るくするするような光ではありません。












B9月8日 33.JPG
〔04〕


プロジェクターから発される光で、
このように壁面が星空のような光景が時折現れます。












B9月8日 31.JPG
〔05〕


電球に接近。
人々は思い思いにこの空間を歩き回ります。












A8月6日 46.JPG
〔06〕


電球の接写でぎりぎりの静止画。
ようやく何かを捉えた感覚を得ました。












A8月6日 45.JPG
〔07〕


暗い体育館を抜けると、
そこには又も暗い空間があります。
短い廊下を右に折れ曲がると、
今度は校舎の少し長い廊下が伸び、
その突き当りから強い光が廊下を進む者の眼に突き刺さります。












A8月6日 47.JPG
〔08〕


学校という廊下とは思えぬ空間。












A8月6日 48.JPG
〔09〕


映画のシーンを思い起こさせる光景です。












A8月6日 49.JPG
〔10〕


この空間は刺激的です。












A8月6日 50.JPG
〔11〕


電球の整列。
これを撮らずにはいられません。











A8月6日 52.JPG
〔12〕


階上の教室に辿りつきました。
またしても電球が現れました。












A8月6日 56.JPG
〔13〕


執拗に電球を写真に撮ります。












A8月6日 54.JPG
〔14〕


飽きもせず。












B9月8日 38.JPG
〔15〕


教室は布で仕切られていて、
プロジェクターランプで電球の姿がその布に浮かび上がります。












A8月6日 57.JPG
〔16〕


この電球もまた、
写真に撮っていて楽しくなります。












B9月8日 37.JPG
〔17〕


またもやたくさん写真を撮りました。












B9月8日 36.JPG
〔18〕


結局、
電球の写真を撮ることに夢中になってしまいました。
途中から、作品紹介のための写真を撮ることを忘れてしまいました。


この作品の意味など私にはまったく分かりません。
感じていることも具体的に説明することなど出来ません。
私は元来芸術作品を見ることに理解することなど放棄しているので、
良いかどうか、
好きか嫌いか、
ただそうして芸術作品と対しています。



(平成二十四年)九月八日(土) 撮影



本記事は、
作品の説明としては成立しませんでした。
実は他にも心を惹かれるシーンがあったのですが、
上手く写真を撮ることが出来ず、
ここで紹介することが出来ません。

この作品、
この空間に私は満たされ、
二度も足を運んで同じような写真をたくさん撮ってきました。
もう一度身を置きたい空間、
今年も展示されるのでしょうか。
もう一度この空間に身を置き、
また写真を撮りたいと想っています。











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