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妻有 [心景]





 2012 越後妻有「大地の芸術祭」の記憶 その八




私的な記事のため、
長大な記事となっています。
お時間に余裕のある方はお付き合い下さい。




芸術祭の記事を作ろうと思い、
写真整理をしていましたが、
ある作品の写真が見つからず、
これでは不完全だと思い作業を中断していました。
何度探しても見つからずいつしかこの記事の事も忘れ、
時折思い出しても気乗りせず三年近くの時が過ぎてしまいました。
ようやく重い腰を持ち上げ書き始めて更新し始めた所、
何かの拍子に探していた写真が先日見つかりました。

大地の芸術祭の記事の最後に、
その作品の写真と、
記事にはならなかった写真、
また、作品とは関係のない写真など全てを一つにまとめてみました。





A 芸術祭 24-79.JPG
〔01〕


公園の片隅に、
円錐形の鉄板を逆さまにして、
そこに水を張り鏡を浸します。
そうした物体が芝生の上に幾つか並べられていました。
その南側、
つまり、太陽がある方向には弧を描くように布が張られています。












A 芸術祭 24-06.JPG
〔02〕


その布の中に潜り込みました。
張られた布の南側にはこのようにたくさんの穴が開いていて、
そこから光が差し込みます。
布には星空のような模様が広がり、
芝生の上にも同様の模様が広がります。

そして、その真っ暗な布に、
外に置かれた水鉢の鏡から反射した光が七色に映っていました。












A 芸術祭 24-05.JPG
〔03〕


布の中には藁で作られた物体が吊り下げられています。
その七色の反射光に照らされる物体。
何を意味するのか解することはできませんが、
その精神性は何かしら伝わって来ます。












A 芸術祭 24-03.JPG
〔04〕


その物体に近寄って注視します。












A 芸術祭 24-04.JPG
〔05〕


七色の光を背景に、
その影を見つめます。












A 芸術祭 24-02.JPG
〔06〕


様々な関わり合いの中に、
自分の影を落とし込みます。












A 芸術祭 24-01.JPG
〔07〕


お決まりの自分の影を撮影して、
この場所に存在した自分を記録します。












A 芸術祭 24-07.JPG
〔08〕


場所が変わって、
この古い写真。
昔の人たちの集合写真。
皆硬い表情ですが、
これが良き日本人だと思います。












A 芸術祭 24-08.JPG
〔09〕


此処を構成する空間の全てが黒板になっています。
此処は教室なのですが、
そこに置かれた地球儀まで黒板になっていました。
此処を訪れた人は、
その黒板に自由に書き込むことが出来ます。












A 芸術祭 24-09.JPG
〔10〕


これは極私的な写真です。












A 芸術祭 24-10.JPG
〔11〕


何だか写りが悪いのですが、
建物を取り巻くビビッドな色の物体。
その色にカメラのセンサーも負けたようです。

此処は松代にある常設の会場。
子供が楽しめる場所もあって、
二歳の娘も楽しんでしました。



(平成二十四年)八月五日(日) 撮影












A 芸術祭 24-11.JPG
〔12〕


芸術祭の中心地は十日町にある「キナーレ」という施設。
その一部は芸術祭の常設会場もあり、
言わば芸術祭の核となる場所でもあります。












A 芸術祭 24-12.JPG
〔13〕


そこで展示されていた作品。
透明な箱の中に、
小さく切り抜いた銀色のシートあり、











A 芸術祭 24-13.JPG
〔14〕


その箱の底にはそのシートがたくさん積もっています。











A 芸術祭 24-14.JPG
〔15〕


その底から時折風が吹き出して、
この銀色のシートが箱の中を舞うという仕掛け。
意味など分かりませんが、
楽しい仕掛けです。
そして、この銀色が写真的にも好きで、
実際よりも随分暗く写真に撮って、
私も楽しませて貰いました。












A 芸術祭 24-15.JPG
〔16〕


光物が好きな習性。
光を切り詰め写す。












A 芸術祭 24-16.JPG
〔17〕


様々な場所で採取した土が入った採取ビン。
知ってはいても土にはたくさんの色がある物だと感心させられます。












A 芸術祭 24-17.JPG
〔18〕


理髪店の店先にあるあの三色の回転灯。
その中に入り込む感覚の作品。
此処は楽しい空間です。












A 芸術祭 24-18.JPG
〔19〕


口の字形状に建つ建物の中庭は、
普段水を貯めて池となっているのですが、
芸術祭の期間中、
水の代わりに古着で埋まっていて、
この一端にクレーンがあり、
そのクレーンが古着を掴んでは持ち上げは落とすという、
ただそれだけを繰り返すという作品。
不思議な空間に不思議な光景。

当然写真では伝わらないのですが、
古着の微妙な匂いが立ちこめていて、
その匂いがこの空間の雰囲気を引き立てています。















A 芸術祭 24-19.JPG
〔20〕


夥しい古着の数です。












A 芸術祭 24-20.JPG
〔21〕


掴んでは持ち上げ落とす。
ただひたすらその動作を繰り返しています。












A 芸術祭 24-80.JPG
〔22〕


二歳の娘はこの奇っ怪な光景を目の前にして、
しばらく立ち尽くして見つめていた。
何か心惹かれるものがあった様子でした。



(平成二十四年)八月十三日(月) 撮影












A 芸術祭 24-21.JPG
〔23〕


下手をすると二時間ほど列車がやってこない飯山線の「下条駅」。
芸術祭の登りと、
黄色い三角形の旗が青い空に栄えます。
心地よい風が吹き渡りその旗が揺れていました。












A 芸術祭 24-23.JPG
〔24〕


青い空に伸びる屋根。
実用的な空間を持たない建物の屋根。

青い空と雲を優先に切り取ると屋根の収まりが悪い構図となってしまいます。
空の色は良いだけに別の構図を探ります。













A 芸術祭 24-24.JPG
〔25〕


構図を優先すると空が今一つの表情になります。












A 芸術祭 24-25.JPG

〔26〕


仕方がないので萱に接近してみます。











A 芸術祭 24-26.JPG
〔27〕


雲が風に流され、
空と構図が折り合いました。












A 芸術祭 24-27.JPG
〔28〕


私のカメラが傾いているのではありません。
屋根葦は渦巻き状に葺かれているので、
必然斜めになるのです。












A 芸術祭 24-31.JPG
〔29〕


茅葺屋根の隣の作品です。
アジアの香り漂う屋根が空に伸びています。












A 芸術祭 24-28.JPG
〔30〕


その建物の中に入り込むと、
映画のフィルムで壁が作られていました。












A 芸術祭 24-29.JPG
〔31〕


アジア的な木像。












A 芸術祭 24-30.JPG
〔32〕


こちらもアジア的な木像。

それをアジア的な撮り方で望んでみました。

このような試みに至る思いがこの芸術祭の楽しい所です。












A 芸術祭 24-33.JPG
〔33〕


場所が変わってこちらは「フロッタージュ」の会場。

物体の上に紙を乗せ、
画材にてその物体の表面の文様などを浮かび上がらせるもの。

ここでは訪れた人もフロッタージュに参加可能で、
植物の葉を色鉛筆でフロッタージュすることができます。
出来上がった作品を切り取り、

窓から差し込む光に葉が浮かび上がります。












A 芸術祭 24-34.JPG
〔34〕


フロッタージュした葉を一枚一枚切り取り、
それを壁に貼り埋め尽くします。










A 芸術祭 24-35.JPG
〔35〕


部屋の壁が外の風景と一体になって見えてきました。












A 芸術祭 24-36.JPG
〔36〕


場所を変えてこのフロッタージュは二回展示されていました。
今年もこのフロッタージュは展示されるのでしょうか。
もし展示されていれば、
二歳の娘は前回このフロッタージュに興味を示さず、
試してみることが出来なかったので、
今年はこのフロッタージュに興味を示し、
一緒にフロッタージュをやりたいと思っています。












A 芸術祭 24-37.JPG
〔37〕


私が負けた空間です。












A 芸術祭 24-38.JPG
〔38〕


古い民家の空間。












A 芸術祭 24-39.JPG
〔39〕


あるはずの無い物体が空間を占領していました。











A 芸術祭 24-40.JPG
〔40〕


空間を埋め尽くすようにその物体は占領していました。












A 芸術祭 24-41.JPG
〔41〕


光りを閉ざしたその空間に冷たい金属の質感。












A 芸術祭 24-42.JPG
〔43〕


ステンレスのワイヤーが張られています。












A 芸術祭 24-43.JPG
〔44〕


この金属の質感が強すぎて、
私の心は閉ざされました。












A 芸術祭 24-44.JPG
〔45〕


興味を惹く空間なのですが、
空間と物体が異質過ぎます。












A 芸術祭 24-45.JPG
〔46〕


光りが少なく、
上手く写真に撮ることが出来ませんでした。

こちらの鑑賞は五名ほどの入れ替え制で、
時間が限られていました。
何かと自由が利かず、
思うように写真を撮ることが出来なかったのですが、
気持ちが乗らなかったのが一番の原因だったと思います。












A 芸術祭 24-46.JPG
〔47〕


ここも興味のある空間、作品でしたが。
その想いを写真に写すことが出来ませんでした。

帰宅してからもインターネットを使ってこの作品と関わる仕組みもあったのですが、
何がどうだったのかすっかり記憶が失われてしまいました。



(平成二十四年)
八月十五日(水) 撮影













A 芸術祭 24-64.JPG
〔48〕


あの日の空です。













A 芸術祭 24-65.JPG
〔49〕


芸術祭を駆け巡りながら、
こうして時折空を眺めます。












A 芸術祭 24-66.JPG
〔50〕


様々な作品を堪能しつつも、
こうした空の印象がまた深いのです。












A 芸術祭 24-68.JPG
〔51〕


九月初めの空ですが、
すでに秋の雲です。












A 芸術祭 24-69.JPG
〔52〕


今年も色々な空と出会えるでしょうか。



(平成二十四年)九月八日(土) 撮影












A 芸術祭 24-70.JPG
〔53〕


小さな小学校の校舎。
山深く小さな集落の分校だったのだろうか。
また、雪深い冬の間に通っていたのか。
その外壁には、
そこに住む人たちやそこに咲く花の写真を大きくプリントして、
外壁いっぱいに貼り付けてありました。












A 芸術祭 24-71.JPG
〔54〕


山村の風景。

家の周りに平らな所がほとんどありません。

見上げると、

緑色がいっぱいで目に優しくその色が染み込みます。












A8月6日 70.JPG
〔55〕


あの彫刻刀の鑿でただひたすら彫られた家の玄関口には、
蚊取り線香が焚かれ、
その煙が風に外に流れ出ていました。












A 芸術祭 24-72.JPG
〔56〕


玄関先にはススキが一輪ありました。












A 芸術祭 24-73.JPG
〔57〕


妻有の山里。
冬は早く、
雪深い。












A 芸術祭 24-75.JPG
〔58〕


妻有の風景。

この風景が懐かしい。












A 芸術祭 24-76.JPG
〔59〕


夏の青い空に白い雲が流れていた。
あの夏空が懐かしい。












A 芸術祭 24-78.JPG
〔60〕


三年前、
娘、二歳。
当然ながら小さかった。
その姿も懐かしい。












A 芸術祭 24-77.JPG
〔61〕


あの夏の良き思い出。

今年も一緒に駆け廻ろう。




(平成二十四年)九月十六日(日) 撮影




今年の大地の芸術祭が一月後に迫ってきました。
仕事が詰まっているので週に一回記事を更新するのがやっとでしたが、
何とか三年後に記事をまとめることができました。
撮影した写真すべての中からまとめ上げることができたので、
私的には満足であります。
今回この記事をまとめながら、
写真を撮ることに夢中で、
集中して作品を見ていないことに対し反省をしていました。
次回は写真を撮ることは控え、
もっとしっかりと作品と向き合おうなどと考えていましたが、
こうして記事をまとめ上げると、
写真があることで記憶に残ることも多いことにも気付きました。
さて、今年はどのように作品と向き合うか、
あとひと月の間に考えたいと思います。



長きに渡り記事にお付き合いいただきありがというございます。










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 2012 越後妻有「大地の芸術祭」の記憶 その七




山村にある一軒の民家。
既に主の居ないその家に現れたアート。




A8月6日 66.JPG
〔01〕


黒い床板。












A8月6日 65.JPG
〔02〕


窓から差し込む光に、
その黒い床板は光っているのですが、
そこには黒い模様があります。












A8月6日 63.JPG
〔03〕


その模様は板の組織に寄って、
また光の具合によって表情が変わります。












A8月6日 62.JPG
〔04〕


その模様は小さく波打っています。
その曲線が美しい。












A8月6日 67.JPG
〔05〕


それは小魚が群れをなして泳いでいるようにも見えます。












A8月6日 68.JPG
〔06〕


板敷きの部屋一面にこの模様が広がっているので、
望遠レンズでは何処をどう切り撮ろうか迷います。












A8月6日 69.JPG
〔07〕


望遠レンズではファインダーを覗いても、
模様の何処を撮っているのかよくわかりません。












A8月6日 64.JPG
〔08〕


目を床から上に移せば、
露わになった小屋組の梁にも、
その模様が蔓延っています。












A 芸術祭 51.JPG
〔09〕


黒い世界から一転白い世界へ。
白壁にもその模様がありました。












A 芸術祭 52.JPG
〔10〕


壁に寄り添う柱にもありました。












A 芸術祭 53.JPG
〔11〕


床から建具まで。
どの部屋にも現れます。











A 芸術祭 54.JPG
〔12〕


隙などなく、
何処から何処までも現れます。












A 芸術祭 24-67.JPG
〔13〕


勿論、
二階の板の間にも。

一軒丸々この模様が覆い尽くしています。



熱いアート作品に包まれ、
ここから眺める妻有の山村風景が気持ちよかった。



(平成二十四年)九月八日(土) 撮影




  「脱皮する家」

     作:鞍掛純一+日本大学芸術学部彫刻コース有志




作者はただひたすらに彫り、

写す私はただひたすらに撮りました。


お気付きの通り、
この模様は彫刻刀



古民家一軒丸ごと、
何もかもただひたすらに彫刻刀を突き刺し、
建築部部材全てを彫り尽くすという作品。

そのひたむきな想いと、
完成させるまでの労力に共感を得ました。



    *



なお、この家は、前回芸術祭が終わったも存在し、
現在、宿泊することができます。
興味のある方、
宿泊を希望される方は下記をご覧ください。

http://www.echigo-tsumari.jp/facility/stay/sheddinghouse










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妻有 [心景]





 2012 越後妻有「大地の芸術祭」の記憶 その六




大地の芸術祭の中心地は十日町市となるのですが、
十日町から鉄道なら気動車でのんびりとJR飯山線を、
道路ならば国道117号線にて長野県との県境を目指して、
共に信濃川に沿ってしばらく走れば、
川の名が信濃川から千曲川へと変わる県境の町、
津南町に辿りつきます。

その鉄路と国道の中ほどに、
静かな町の中に嘗て織物工場だった建物があります。
活気のあった時代があったのかどうかは知り得ませんが、
この小さな町の中に、
建物一棟を使ってのアートが、
夏の眩しい光の中、
私の心を惹きつける不思議な世界が広がっていました。




A 芸術祭 24-63.JPG
〔01〕


硝子製の風鈴が吊り下げられた部屋。
一つの窓から夏の光が溢れていました。

この明るさからは、
次に目にする空間を想像することができません。












A 芸術祭 24-47.JPG
〔02〕


歩みを進めるれば、
一転、光の遮られた空間が広がっています。

Tシャツがハンガーに吊るされ、
その中には電球が仕込まれています。

浮遊感を感じるこの空間が好きです。

Tシャツの無う奥には、
このあとに出てくる作品が写っています。












A 芸術祭 24-48.JPG
〔03〕


前の写真のTシャツは実は裏側で、
脇を通り過ぎ振り返ると、
このような世界が広がっています。














A 芸術祭 24-50.JPG
〔04〕


Tシャツの上部は赤色や緑色に染められています。












A 芸術祭 24-49.JPG
〔05〕


一枚一枚のTシャツに、
命を与えられたよう。












A 芸術祭 24-51.JPG
〔06〕


Tシャツの空間を正面に見てその背中、
建物の突き当たりの壁に現れたアート。
まるで壁画のようなであります。


本来壁と接しているはずの2階床が、
壁の手前で途絶え、
その隙間に2階の窓から差し込む自然光が、
壁面を照らしています。


空間と光の扱いが素晴らしい。












A 芸術祭 24-53.JPG
〔06〕


その壁には数えることが出来ないほどの、
ビニールで被覆されたハンガーが絡み合っています。


このハンガーという物体が、
空間と光の中で浮かび上がる姿に、
私は強く心を惹かれました。


その想いを、
上手く写真に撮ることが出来ず、
添える文章も技量なく、
上手く伝えることが出来ませんが、
この芸術祭の中でも特に好きな光景であります。












A 芸術祭 24-54.JPG
〔07〕


1階から2階へと足を運ぶと、
再び光溢れる世界が広がっています。

雲からぶら下がるハンガー、
何を意味するのか私には分かりませんが。
何やら微笑ましい光景です。












A 芸術祭 24-55.JPG
〔08〕


その雲を辿って先を行けば、
少し緑色の深い壁に辿りつきます。












A 芸術祭 24-57.JPG
〔09〕


その壁には、
ハンガーと蔦の葉が絡み合っています。












A 芸術祭 24-56.JPG
〔10〕


ハンガーに絡み付いて模様。
意図して配置されたのかどうかは分かりません。












A 芸術祭 24-58.JPG
〔11〕


更にその先に現れる空間。

此処はもう、
天国のように感じていまう場所であります。












A 芸術祭 24-60.JPG
〔12〕


雲が這うような様。












A 芸術祭 24-59.JPG
〔13〕


近く寄ってみれば、
このような素材で造られた空間であることを知りますが、
そのようなことはどうでも良いのです。












A 芸術祭 24-61.JPG
〔14〕


最深部。
また、あの暗い空間のモチーフが現れました。

雲を想わせるようなこの質感と浮遊感。
鎮座するシャツは心臓なのか。
もしかすると女王蟻か女王蜂のような存在なのか。












A 芸術祭 24-62.JPG
〔15〕



様々な想いが浮かんでくる場所です。



夏が近づいてきた今日この頃、
梅雨の不快な湿り気を含んだ空気が漂う空気の中で、
あの妻有の夏の風を想い出しています。



(平成二十四年) 八月十五日(土) 撮影



このアートは特に好きなアートで、
親しみのなかった現代アートを私に惹きつけるきっかけとなった場所です。

此処でこの作品の記憶を留めるために、
自分で撮影した写真ではなく、
大地の芸術祭では唯一絵葉書を買い求めた場所。
前々回に出会い、
前回も訪れた場所。
今年もこのアートと出会うことが出来ることを、
密かに胸に抱いています。



    *


また仕事に追われてしまい、
すっかり余裕を失っています。
自宅でパソコンを開く時間がほとんど無く、
思うようにブログの記事を書くことが出来ません。
今年の芸術祭が始まるまであと一ヶ月と少し、
前回の芸術祭記事の下書きが記事があと二つなので、
何とか今年の芸術祭の前には全部更新することができるでしょうか。
春に撮った写真の整理もまだできていない状況なので、
普通の写真記事は恐らく半年遅れでの更新になってしまいそうです。
今年の芸術祭記事はいつ更新することができるのか心配になりますが、
本当の心配は今年の芸術祭に行くことができるかどうか。
50日の会期中に最低三回は行きたいので、
今から仕事の調整をしなければなりません。










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 2012 越後妻有「大地の芸術祭」の記憶 その五




この作品は、
と言うよりも、
この空間が好きです。

此処に来るのは二度目ですが、
二度訪れるならば、
新たな作品を求めて他へ行った方が良いという考えも頭の中には浮かびますが、
再びここへ足を運ばせる力をこの作品が持っているという事です。
実際、この年も大変多くの人が訪れていました。
大変人気のある作品のようです。

この作品は、
閉校になった校舎全体を使っての構成となっています。
先ず足を運び入れるのは校舎の昇降口ではなく、
外光を遮断した体育館、
出入り口を覆う暗幕を潜ってその空間へと入り込みます。


夏の強い光に晒されてきた眼は、
すぐにこの暗い空間に順応することが出来ず、
私は動くことが出来ず、
壁に添ってしばらく立ち尽くします。
先にこの空間に入っている人たちが、
私の傍を動いていますが、
私の暗順応は遅く動くことが出来ず、
少々焦りを感じました。

また、一歩この空間に足を運び入れた時から、
稲わらの匂いが私の花を付いています。
この閉じ込められ、
熱気を帯びた空間に稲わらの匂いが立ち込めています。

その稲わらは体育館の床一面に、
割合厚く敷き詰められていて、
暗さによる不安な視覚と、
足裏の不安定な感覚が相まって、
この空間から受ける刺激は最初から最高潮に達します。

しばらくして、
真っ暗な体育館に電球が浮かんでいるのが眼に留まります。
そして耳には扇風機の羽が回る音が届きます。


多くの感覚を刺激されてこの空間を彷徨います。


最初にこの空間へ足を入れた時の感覚は、
ことのほかよく覚えていて、
六年経った今でもその感覚を忘れることがありません。




B9月8日 34.JPG
〔01〕


この空間が体育館に設えられた空間です。
写真に撮ると扇風機や壁が写っていますが、
見た目には電球が点として見えるだけで、
その他は真っ暗で、
ただただ黒い空間です。












B9月8日 29.JPG
〔02〕


この暗い空間ではストロボの光も役に立たず、
どう写真を撮ってもブレるので、
ブラして撮るしかありません。












B9月8日 35.JPG
〔03〕


中央付近の明るいところが体育館の出入り口で、
人が出入りするときのみ、
外光の強い光が入り込みます。
ただ、それは入口付近を明るくするだけで、
体育館全体を明るくするするような光ではありません。












B9月8日 33.JPG
〔04〕


プロジェクターから発される光で、
このように壁面が星空のような光景が時折現れます。












B9月8日 31.JPG
〔05〕


電球に接近。
人々は思い思いにこの空間を歩き回ります。












A8月6日 46.JPG
〔06〕


電球の接写でぎりぎりの静止画。
ようやく何かを捉えた感覚を得ました。












A8月6日 45.JPG
〔07〕


暗い体育館を抜けると、
そこには又も暗い空間があります。
短い廊下を右に折れ曲がると、
今度は校舎の少し長い廊下が伸び、
その突き当りから強い光が廊下を進む者の眼に突き刺さります。












A8月6日 47.JPG
〔08〕


学校という廊下とは思えぬ空間。












A8月6日 48.JPG
〔09〕


映画のシーンを思い起こさせる光景です。












A8月6日 49.JPG
〔10〕


この空間は刺激的です。












A8月6日 50.JPG
〔11〕


電球の整列。
これを撮らずにはいられません。











A8月6日 52.JPG
〔12〕


階上の教室に辿りつきました。
またしても電球が現れました。












A8月6日 56.JPG
〔13〕


執拗に電球を写真に撮ります。












A8月6日 54.JPG
〔14〕


飽きもせず。












B9月8日 38.JPG
〔15〕


教室は布で仕切られていて、
プロジェクターランプで電球の姿がその布に浮かび上がります。












A8月6日 57.JPG
〔16〕


この電球もまた、
写真に撮っていて楽しくなります。












B9月8日 37.JPG
〔17〕


またもやたくさん写真を撮りました。












B9月8日 36.JPG
〔18〕


結局、
電球の写真を撮ることに夢中になってしまいました。
途中から、作品紹介のための写真を撮ることを忘れてしまいました。


この作品の意味など私にはまったく分かりません。
感じていることも具体的に説明することなど出来ません。
私は元来芸術作品を見ることに理解することなど放棄しているので、
良いかどうか、
好きか嫌いか、
ただそうして芸術作品と対しています。



(平成二十四年)九月八日(土) 撮影



本記事は、
作品の説明としては成立しませんでした。
実は他にも心を惹かれるシーンがあったのですが、
上手く写真を撮ることが出来ず、
ここで紹介することが出来ません。

この作品、
この空間に私は満たされ、
二度も足を運んで同じような写真をたくさん撮ってきました。
もう一度身を置きたい空間、
今年も展示されるのでしょうか。
もう一度この空間に身を置き、
また写真を撮りたいと想っています。











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