妻有 [心景]
2012 越後妻有「大地の芸術祭」の記憶 その四
〔01〕
なにやら楽しい予感があります。
〔02〕
閉校になった小学校。
鉄筋コンクリート造三階建ての南側壁面には、
大きな布地に描かれた大きなモグラが居ます。
〔03〕
そこへ向かう者を、
遠くからもそのモグラが出迎えていてくれます。
〔04〕
玄関に辿りつきました。
「もぐらの館」で入口です。
ここを潜って入ります。
モグラの巣穴に入る感覚です。
〔05〕
土を踏みしめます。
此処は「土」を主題に表現している場所なのです。
〔06〕
振り返って外界を眺めた後、
モグラの館に潜入します。
〔07〕
階段を登り、
作品展示のある二階へ上ります。
その廊下端のガラス窓にあった火の見やぐらが描かれていました。
〔08〕
こちらには懐かしい日本の農村風景が描かれています。
他にもたくさん描かれていましたが、
どうやらここ妻有で出会うことの出来る風景が描かれているようです。
〔09〕
この窓ガラスの画は、
みな「土」で描かれています。
〔10〕
古びた床に、
その画の影を落とします。
〔11〕
別の教室へ。
陽射しが溢れる南側の窓には、
暗幕が張ってありました。
〔12〕
開け放たれた窓からは、
時折熱を帯びた風が吹き込みます。
〔13〕
風が吹く度に、
その暗幕の裾が揺れ動きます。
〔14〕
その風に揺れ動く裾から漏れる光景に心を惹かれました。
〔15〕
床に映る光と影。
夏の強い陽射しが劣化した布を、
突き抜けます。
〔16〕
このような展示作品とは関係のない物を、
ひたすら撮り続けました。
〔17〕
別の教室には、
また、別の空間が広がっていました。
これは何なのかと考えさせられる楽しみ。
〔18〕
覗きこんで見るという楽しみ。
解する必要はありません。
〔19〕
失礼ながら、
作品に心を惹かれるのではなく、
作品を照らす照明器具の並びに心を惹かれました。
〔20〕
此処でも好きなものをたくさん撮りました。
〔21〕
こうした光や画には、
嗅覚が働くというか、
習性として写真を撮っています。
〔22〕
気に入りの構図を探し求めて試行錯誤。
何を撮っているのかと怪訝な他人の視線を感じる。
〔23〕
並んだランプの数ほど写真を撮りました。
〔24〕
二階から三階へ通ずる階段の壁には、
表面が波打つガラスブロックが嵌め込まれ、
夏の陽射しに輝いていました。
〔25〕
強い輝きの向こうにある青色に、
夏の陽射しも少しだけ冷やかに感じました。
〔26〕
作品を鑑賞し、
帰り際に一階へ降りる階段。
此処は光が遮られていて、
その暗い空間にプロジェクターの光が投じられていました。
〔27〕
この日、
此処にいた自分の影を、
壁に映して楽しみました。
(平成二十四年)九月八日(土) 撮影
古い鉄筋コンクリート造校舎を使っての展示。
様々な発想がそこにはあって、
随分楽しむことが出来ます。
廃校という空間を使った展示は、
ここ妻有での個性で気に入っています。
作者の想いに感応していないと思うのですが、
この「もぐらの館」も楽しい空間でした。
そう感じる場所に一人で訪れたのが幸運でした。
自分の好きなように、
自由気ままにたくさん写真を撮りました。