山寺 [旅景]
山寺 その九(最終回) 「惜別」
山門を出る頃は人影も疎ら。
静かな参道でした。
山門を潜ればそこはもう山寺とは縁の切れた世界なのですが、
佳き場所と巡り会った直後なので、
この場所から離れ難い想いに、
足取りが重くなっていました。
目にする光景を、
何とか写真に収めたいと、
辺りを隈なく視線を巡らせます。
〔01〕
一筋の水が落ちるその音は、
微かに聞こえました。
〔02〕
その池には、
人の近付くのを感じ取ることを忘れた魚たちが居ました。
〔03〕
何ということの無い空間です。
それだからこそ、
目を向ける心が在ります。
〔04〕
光の当たる場所、
そのような場所を探しています。
〔05〕
どのような世界でも、
光があれば何かを感じます。
そのような心を持ち続けたいと思います。
〔06〕
空が、
離別の時を告げています。
〔07〕
山寺を訪れた時、
迎えてくれた川、
その水面を見つめます。
〔08〕
川辺の草たちも、
見送ってくれました。
〔09〕
仙台へと向かう仙山線、
その山寺駅のホームにて。
山寺を去るのが寂しくて空を眺めます。
〔10〕
見送っているような空。
いつかまた訪れる事を、
この空に誓いました。
十月十九日(土) 撮影
「山寺」、
思い通りの場所でした。
思いの外光の具合がよく、
自分なりの写真も多く撮ることが出来ました。
満たされたから思うのは、
「もっと良い光の具合があるのではないか」という欲。
季節や時間、
もっと刺激的な光の下、
写真を撮りたいと思いました。
それでも満足しています。
このような写真を撮ることが出来ただけでも喜ばなければなりません。