儚雪 [冬景]
〔01〕
この朝雪が降りました。
三月に入っても雪の降る日は多かったのですが、
ほんのわずかな量で地面全体を真っ白に、
埋め尽くすように覆うことはありません。
〔02〕
道路脇の立木の根本には、
秋に払い落とされた枝が無造作に積まれ、
それを隠さぬよう三月の儚い雪がそっと覆います。
〔03〕
見上げれば明るい空が広がっています。
細く小さな枝先にも雪が纏わりつくように積もっていました。
わずかな雪だからこそバランス良くその形を演出しています。
〔04〕
枝先に太陽を重ねてみます。
老木の桜ですが、
まだ新しい枝を伸ばし花を咲かせようとしている姿を見つけました。
その小さな姿に木の命を感じるのでした。
三月八日(火) 撮影
夜からこの朝までに降った雪は、
陽が上るとすぐに消えてしまいました。
春近い三月の雪は、
こうして降っては消え、降っては消えを繰り返し、
やがて本当の春がやってきます。