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雪国 [冬景]





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〔01〕


この冬一番の積雪量の頃です。
見掛けの積雪量では他の日に記録しているかも知れませんが、
屋根には一番荷重の大きい頃で、
この状態で地震がきたら建物被害は相当なものになるでしょう。












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〔02〕


城下町の古い通りに面して建ち並ぶ家々、
隣家と接して建っているため雪を下ろすのはほとんどがこの通りになるのですが、生活道路であるため勝手に雪を降ろすことができません。
市が「一斉雪下ろし」を発令するまではじっと我慢するしかありません。












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〔03〕


 雪を下ろすまでは不安が募ります。
 ここに住む人たちの心象を代弁するなら、こうしたモノクロ写真が合っているように思われます。












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〔04〕


 こうした古い通りでは道幅が狭く、家々が道に接しているので除雪車が雪を掻いて行く事が出来ません。
 地下水を利用した消雪パイプが道路に埋設してあり、降雪センサーにより適時地下水を道路に撒いて雪を消し車の通行を確保します。それでも道の両側には雪が残りますので、道路脇には流雪溝という普通より断面の大きな側溝が布設され、家庭の前に開閉可能なグレーチング蓋が備えられます。雪が溜まるとこの側溝へ近くの川からポンプアップされた水を勢いよく流し、各自そこに雪を投げ入れ雪を処理します。
 消雪パイプと流雪溝が設置された道ではこうして路面が出ています。ただし、水量が追いつかないほどの雪が降った場合は消雪が追いつかず、圧雪になることがありますが車両の通行が不能になることはありません。こうした設備は多雪地域での車にとっては無くてはならない設備であります。












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〔05〕


 一斉雪下ろしと流雪溝、実はどちらも作業をする時間が決められます。
 一斉雪下ろしは、公共の道路に雪を下ろすのですから各人好き勝手に下ろす事は出来ません。市が日時を決めた日時に下ろさなければなりません。その猶予はおおよそ一日程度ですから、勤め人は休みを取りますし、高齢者や休むことの出来ない家庭では人を雇って雪下ろしをします。
 一斉雪下ろしはよほどの大雪にならない限り一冬に一回で、雪の少ないときには必要なく、十年に数回といった作業ですが日を決められて雪下ろしをするのは当事者にとっては大変な事には変わりがありません。なお、道路に下ろした雪は、重機とダンプカーで河川敷などの雪捨て場に排雪します。その作業に一日から二日要するので、一斉雪下ろしをすると二日から三日は道路が通行止めになります。
 流雪溝も各路線の水を流す時間が各町内に通知され雪捨てが作業が行われます。一回三十分ほどの間にしか雪を捨てることができません。曜日に関係なく、日中に流すことが多いので、日中留守の家では自宅前の雪を捨てる事が出来ません。流雪溝はその短い時間に一斉に雪を流し入れるので、ほぼ平坦なこの地では勾配も緩く、曲がり角では雪が詰まり流れなくなることもあり、流雪溝の構造や雪を捨てる人の考え方の相違による人間関係に苦労している町内もあるのが実状です。












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〔06〕


 消雪パイプで道路の雪を消すことはとても便利ですが問題もあります。車にとってはとても有り難いのですが、歩行者にとってはこれが大迷惑で、心ない運転手によりこの水を車で飛ばされることがあるのです。
 また、消雪水の排水が雪で堰き止められると大きな水溜まりができ、長靴を履かない人にとっては迂回を強いられたり、最悪の場合は靴の中に浸水し不快な思いをします。いずれにせよ消雪パイプが設置された道路を歩くのは容易ではありません。
 消雪水を散水した後に気温が下がったときなどは路面が凍結します。一旦路面が凍結すると車も歩行者も大変で、こうなると雪国に住む者でも転倒する人はいますし、運転手も細心の注意が必要です。
最近では道路が凍結しそうになると凍結防止剤を散布するようになったのでこの点は少しは改善されましたが、いずれにせよ気を緩めることはできません。
 まだまだ大きな問題があります。それは地下水を汲み上げ過ぎて地盤沈下が起きていることです。消雪パイプは深井戸で多量の水を汲み上げます。道路の消雪ばかりでなく民間の工場や商店の駐車場などでも深井戸を備えている所があるので、冬期間一斉に地下水を大量に汲み上げると地盤沈下が起こるのです。
 こうした対策には、市内各所に地下水位の観測所を設置し常時地下水位を観測し地盤沈下発生注意報を発令して、不必要に地下水を汲み上げないよう深井戸設置者に呼びかけ注意を促します。
 また、公的な道路の消雪パイプについても、降雪センサーの調整で以前より散水量を絞るようにしています。結果、昔ほど道路の状態は悪くなりましたが、地面の中が空洞になってしまうと建物が沈下や地震時の影響などを考えると致し方ありません。
 便利そうに見える雪国ならではの装置も、残念ながら実は生活する全ての人、生活全ての場面で有益であるとは言えないのです。道路は生活物資の輸送ばかりでなく、消防車や救急車などの確保の為に雪で通行不能にさせることは出来ないので、皆一生懸命雪と格闘し、我慢して生活していのが雪国の実状です。












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〔07〕


一月三十日(日) 撮影


日曜出勤での撮影です。
写真を撮った時点ではいつも通りの通勤途中に撮った写真でした。
同じ写真を垂れ流しても意味がないと思い、
後付で雪国の生活がわかる文章を添えました。

思い付きで、私の稚拙な文章では、
雪国の生活や設備、事情などブログ一つの記事では伝えきれませんが、
地元のニュースサイトの記事リンクを下記に用意しましたので、
興味のある方はどうぞご覧下さい。



市内一斉雪下ろしに関するニュース
http://jjournal.jp/archives/6995


雪下ろしの様子に関するニュース
http://jjournal.jp/archives/7073


雪捨て場の重機のニュース
http://jjournal.jp/archives/7178


雪捨て場への排雪量のニュース
http://jjournal.jp/archives/7401

(以上、いずれも地元ニュースサイト「上越タウンジャーナル」の記事です)









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