帰路 [酔景]
一週間ほど前のとある日、
仕事の関係者から声が掛り、
久しぶりに夜の盛り場へ繰り出しました。
美味い肴に好物のビールを飲み楽しみました。
気心の知れた仲間との飲み会でその一時を楽しく過ごし、
皆満足してそれぞれの家路に着きましたが、
私にはもう一つの楽しみがありました。
幸いにもその日は天気がよく、
秋の夜風もさほど冷えてはおらず、
酔い覚ましには心地よい空気の中歩いて帰ります。
普通に歩けば二十五分ほど掛かる道程を、
夜の暗闇の中で写真を撮りながらゆっくりと、
四十分ほど掛けて歩いて帰りました。
現在写真を撮りに出掛けるのは日曜朝の散歩程度、
撮影のために遠くへ出掛ける事が出来ないので、
こうした撮影も私にとっては貴重な時間で、
楽しい時間でもあります。
〔01〕
自転車たちの寝床。
〔02〕
囁くような会話も途切れ、
夜の静寂。
〔03〕
家路を急ぐ理由などない。
したがって腰を落ち着け踏切のど真ん中で写真を撮る。
〔04〕
ここは「寺町」、
文字通り寺がたくさんあり、
嫌でも寺の前を通る。
〔05〕
いつもなら通り過ぎる路傍に視線を落とす。
〔06〕
そして見上げる。
〔07〕
暗闇の中に一台の車に目をつけ。
〔08〕
その屋根の夜露に秋を知る。
〔09〕
明るい場所、
〔10〕
電燈の下に現れる。
〔11〕
整然と、
静粛に、
〔12〕
夜は更け、
〔13〕
それぞれの夜、
それぞれの眠り。