汽笛 [空景]
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十一月十五日(日) 撮影
この日一年に一度だけ、
裏の線路を蒸気機関車が走る日でした。
蒸気機関車は一旦出発の駅まで回送され、
そこから乗客を乗せて営業運転を行うので、
家の裏は都合二回通ることになります。
営業運行の時間は分かっていましたが、
回送される時間までは分かっていませんでした。
けれども蒸気機関車が通過する時間が近付いたのか、
線路脇に人が集まり始めたので、
私も裏の田んぼを横切り線路脇に行きました。
とにかく風の強い日で、
時折小雨が混じっていたので、
役には立たないと思いましたが、
傘を手にして出掛けました。
空を見上げると、
風の影響で雲が早く流れ、
太陽がその雲に隠れたり顔を出したり、
また太陽と反対の空は青空が広がり、
白い雲が流れていました。
方角により空の表情が違い、
常に変化しながら多様な表情を見せていました。
蒸気機関車は何時来るのか全く分かっていませんでしたが、
待っている間、
そんな空の表情を撮影していました。
今日の写真はその時撮った写真で、
最初のカットから最後のカットまで十分に満たない短い時間で撮ったもの、
単に撮影順に並べているだけです。
写真を撮りしばらくすると蒸気機関車がやってきました。
しかし、
蒸気機関車は後ろ向きに最後尾にあり、
客車を夾んで電気機関車に引かれて来ました。
煙を吐き走る姿を期待していただけに、
何だか拍子抜けしてしまいました。
けれども運転台にいた運転手は、
少し離れていたカメラ小僧達ではなく、
私と一緒にいた小さな子供のために、
小さく汽笛を鳴らしてくれました。
それはとても心温まる汽笛でした。