登山 [社景]
「品川神社」 その一
富士登山と題しましたが、
本当の富士山の登山ではなく、
東京は品川神社にある「富士塚」の富士登山です。
昨年九月に妻の実家に帰省した祭、
早朝に品川神社を訪れました。
京浜急行に乗れば数駅という、
手頃な散歩場所で、
これまでにも何回か訪れては写真を撮っていますが、
この時が四度目の訪問でした。
これまでの訪問記事の興味をお持ちので、
お時間のある方はよろしければご覧下さい。
三回目に訪れた時は、
登山道脇に立てられた合目を現す石標と、
それぞれの地点で撮影して記事をまとめていますので、
こちらの富士塚の全体象がお分かりになると思われます。
一回目 (平成24年5月) 訪問記事
http://wabi-sabi.blog.so-net.ne.jp/2012-06-04-1
二回目 (平成26年11月) 訪問記事
http://wabi-sabi.blog.so-net.ne.jp/2014-01-08
三回目 (平成26年9月) 訪問記事
http://wabi-sabi.blog.so-net.ne.jp/2014-10-12-2
〔01〕
神社境内へと続く階段にて。
朝の散歩における撮影では、
一番最初に何を撮るかで、
その後の道順、目と心の対象、
そして撮影の出来不出来に大きな意味をもたらします。
この朝の最初に一枚は、
階段に張り付いた葉でした。
〔02〕
その階段の途中、
左に切れ込む小道があり、
そこから富士塚登山がはじまります。
この日も神社本殿に向かう前に、
富士塚に登りました。
その入り口脇にある足紙様の小さな祠。
松ぼっくりは誰が添えたのでしょうか。
〔03〕
昔は足袋を履いて山に登りました。
登山の無事を祈って奉納した足袋でしょうか。
暗い岩肌を背景にした足袋が朝陽を受けている様に心惹かれました。
〔04〕
石に刻まれた富士山。
前々回に訪れた時に気になったこうした彫り物。
この日もこうした石に心を向けて登山をしました。
〔05〕
刻まれた文字。
氏名や土地などから様々な事を想い描きます。
富士信仰の熱き想いがこうした石碑から伝わってきます。
〔06〕
「二合目」には、岩を砕いた小さな穴に、
三体の石像が安置されています。
その奥正面に鎮座する象。
その表情に深い「知」を感じます。
〔07〕
その象を守るようにして、
手前に二体の象が立ちます。
その内の右側に立つ鬼のような象。
小柄ながらにも眼が印象的で存在感があります。
〔08〕
富士山を想い起こす三角形を上手く使い富士の姿に刻まれています。
読み取ることの出来ない文字が、
丸の中にこれまた上手く刻まれています。
〔09〕
現在の富士塚は、
石で覆われています。
石と石の隙間もコンクリートで固められ、
雨で崩れる事はありません。
従って植物は僅かで、
諸処に石碑が建てられています。
〔10〕
石の隙間から生えた雑草。
僅かな土に根を下ろし、
力強く生きています。
〔11〕
諸処に建てられた石碑を見るに付け、
信仰の深さを感じます。
〔12〕
富士山の持つ険しさが、
この富士塚では石の起伏に現れています。
〔13〕
この日はこうした山肌の石に心を惹かれました。
出来るだけ多くの石碑などに目を向けるように心掛けましたが、
まだまだ見るべき物を見逃しているように思います。
こうして一つの場所に何度か足を運ぶと行く事は、
一度では見る事の出来ない光景や、
感ずることの出来ない対象に改めて出会う事があります。
この富士塚では石碑などに興味を持つ事が出来ました。
次回に訪れた時の楽しみがまた一つ出来ました。
〔14〕
登山の途中に垣間見る現代の一齣。
中間点の「五合目」では平らな道が山を左回りに伸びていて、
その道を辿ると登山を頓挫して神社の境内に行くことが出来ます。
その神社の境内の片隅に、
子供の遊具が置かれていました。
〔15〕
石碑を見上げれば、
その背景にも現代の姿が映り込みます。
こうした現代の建物を背景にして、
古き時代に作られた物とを対照的に撮ることは、
二回目に訪れた時に思い至った構図です。
〔16〕
山頂に近付いた頃、
登山道から見下ろすと、
境内の緑に囲まれて小さな祠がありました。
〔17〕
山頂近くでは視界が開けてきますが、
足元一体は山肌を覆った石とコンクリートばかりで、
こうして緑に包まれた祠に心惹かれます。
ただ、この景色は、
望遠レンズで背景を引き寄せた画になっているため、
人間の目ではこうして見る事は出来ません。
自分なりの印象で風景を切り撮る写真の楽しみであります。
〔18〕
山頂近付き、
振り返って下界を見渡します。
東京湾の方を見渡しますが、
当然現在では東京湾を見る事が出来ませんが、
浮世絵などで見た江戸の海や品川の宿などを頭の中で想い描きます。
〔19〕
京浜急行の赤い電車が下って行きます。
普段はJRしか見る事の出来ない田舎育ちの私が、
近年度々利用することとなったこの私鉄は、
私に取っては愛着のある鉄道で、
こうして目にする度に写真を撮っています。
〔20〕
「九合目」。
山頂も直ぐ目の前。
登山と言っても標高十数メートル。
その登山道をゆっくりと写真を撮りながら、
行きつつ、戻りつつの緩やかな歩みですから、
息など切れることは無いのですが、
ここで一度立ち止まり呼吸を整えます。
そして、山頂からの景色を拝む前に当たりをもう一度見渡します。
深い影の中から朝陽を浴びて浮かび上がる緑色。
こうした艶のある力強い緑を見るとつい写真を撮ってしまいます。
〔21〕
山頂に登頂しました。
前回は山頂では、
とある撮影集団に占拠され、
この眺めを写真に撮ることが出来ませんでした。
この日は富士塚を昇る人もごく僅かで、
文字通り山頂を独り占めして楽しみました。
平成二十七年 九月二十二日(火) 撮影
お久しぶりです。都内の富士信仰、江戸の富士信仰ですか、岩肌の光と影に当時の人々の名も無き会話が聞こえてきそうですね。歯痛の方は治りましたか。此方も歯は虫歯になりやすく、時たま歯医者に通っています。赤い電車は高校時代通学に毎日使い思い出があります。
by SILENT (2016-05-04 08:12)
山頂独り占め、気分爽快に下界を眺め
富士塚、途中の様子など、ご一緒した気持になりました
やはり緑に包まれた祠をきリとっていただくと、今ではない富士塚に心が飛びます
by engrid (2016-05-04 09:06)
最初の1枚とても印象的です。こんな登山の魅力もあるのですね。
by JUNKO (2016-05-04 19:47)
都区内には、こういう名所旧跡がけっこうありますね。
私も今日はその一つに行ってまいりました。
by skekhtehuacso (2016-05-05 21:58)
小さな富士山ですが、石像、石碑など歴史が詰まっていますね。
頂上からの風景、赤い電車がいいですね。
by kohtyan (2016-05-07 10:39)