妻有 [心景]
2012 越後妻有「大地の芸術祭」の記憶 その三
〔01〕
建物の外壁です。
空間構成も、
設えも質素というか簡素。
どうしてそうなったのかと自分なりに考えると、
様々な事情が浮かび上がってしまい、
純粋に芸術の事を考える支障となってしまいます。
どのような事情であれ、
目の前にした物体に、
一度興味を持てば写真に撮ります。
縦と横に整然と組まれた格子。
ただそれだけですが、
そこに造られた空間から、
極私的に感応するひと時でした。
〔02〕
光と影。
写真だけではないのですね。
建築空間の中に生まれる光と影を見つけると、
何故だか幸せになります。
〔03〕
ただひたすらに写真を撮ります。
自分が納得するまで。
〔04〕
まだまだ撮ります。
〔05〕
執拗に。
〔06〕
視線を建物から、
その空間の中にあるアートに転じます。
建築とアートの融合でしょうか。
正直に言うとその必然性は感じられなかったけれど、
それぞれの想いというか、
その熱は伝わってきて、
違和感を感じることはありません。
何かの意味があるのでしょうが、
残念ながら私はその意味を解することが出来ません。
解することなど必要なく、
見ていて楽しいかどうか、
ただそれだけの事です。
〔07〕
眼の前のアートに接近。
周囲を削ぎ落とせばフォトジェニック。
そして露出は、
少々暗め。
私はこれ位の雰囲気が好みです。
〔08〕
それでも少々露出を変えて、
少々明るめ。
これも悪くないと思う、
優柔不断な性格です。
〔09〕
更に明るめ。
これもまた悪くない。
もう、どれが良いのか、
自分でもわかりません。
被写体も、
被写体も、
何が何なのか分からなくてもよいのです。
ただ何となく楽しい、
そう感じるだけで良いのです。
それが現代アートなのだと私的に感じています。
〔10〕
不思議なアートのある空間を抜けると、
その奥にもう一つの部屋が現れました。
天井がなく、
露わになった屋根の裏から何本ものテグスが引き込まれていて、
そのテグスが何箇所か、
集まって外壁を突き抜けています。
〔11〕
これもまた何だかわかりません。
全く解することが出来ません
それでも心惹かれます。
〔12〕
解らずとも快感なり。
〔13〕
様々な方向に走る。
〔14〕
近付けば、
力強く。
楽器の弦を想う。
〔15〕
背景の格子と共演。
〔16〕
様々な方向を目指しても、
何故だか乱れては居らず。
〔17〕
此処でもまた、
ただひたすらに撮りました。
オートフォーカスでは思う場所にピントが合わず、
かといって、
マニュアルフォーカスでピントを合わせてようとしても、
どこにピントが合っているのかが、
ファインダーを凝視してもわかりません。
*
私の仕事とは切り離すことの出来ない感覚が、
この空間にありまして、
思い返せば、
この後過酷な状況に落ち行ったことを思い出します。
苦い思いも時が経てば薄れます。
佳境のどん底にいた時に持ち和すことの出来なかった苦い思い出も、
時が過ぎれば薄く掠れていきます>
(平成24年)九月八日(土) 撮影
面白いものを見せていただきました。
by JUNKO (2015-05-19 22:01)