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鉄旅 [旅景]



鉄旅


青春18きっぷの旅 四日目 (その二)


飯山駅から再び飯山線に乗り戸狩野沢温泉駅に向かいました。
この戸狩野沢温泉駅には特別目的はありませんでしたが、
たまたま乗り合わせた列車がこの駅止まりでした。
この先へ行く接続列車の発車時刻まで駅周辺を散策して写真でも撮る事にしました。

けれどもこの駅周辺はこれまでに何度か車で訪れたことがあり、
実は駅周辺がおおよそ何があるかは知っていて、
散策して楽しむようなところがなかったと記憶していました。
もしかすると肩透かしを食らってしまいそうな予感がありましたが、
随分前にこの辺の駅を舞台にした夢を見たことがあり
その映像と筋書きが今でも頭の片隅に残っているので、
現実世界でその夢の映像を見ることが出来るのではないかという淡い期待を抱いての下車となりました。

下車してみると、
そこは夢で見た光景は全くなく、
散策に足を向けるべく嗅覚が全く働きません。
つまり、私が旅に求める匂いや、
写真を撮ることが出来そうな気配が漂っていないのです。
正直言ってこれは失敗だと思いましたが、
天気が良かったのでとりあえず千曲川を見に行くことにしました。

川へと向かう道を歩いていると、
一台の路線バスが私を追い越して行きました。
そのバスは駅名にもある野沢温泉行のバスです。
実はこのバスに乗り野沢温泉に行き、
外湯に入ろうという計画もありました。
けれども、その帰りのバスは次に乗る列車にわずか数分間に合わず、
野沢温泉行は断念しました。
皮肉なことにそのバスの運行時間は三日前の四月からで、
三月までは逆に数分は約着くという運行時間になっていたので、
この計画は断念したのですが、
午前中のこの時間であれば野沢温泉に一泊した人が、
バスでこの最寄り駅まで来て帰宅またはこの先の旅を続けるという事は考えられるので、
利用客の少ないバスであれば尚更少しでも乗客を当て込む運行計画をして欲しいと思いました。
自分の旅が思うように計画できない残念さに勝手な思いや考えを巡らせながら、
駅から五分も歩けば千曲川に架かる橋に辿りつきます。




千曲川01.jpg
〔01〕


千曲川に掛る長い橋を渡ります。
その橋の途中で立ち止まり、
柔らかな陽射しの中春らしい景色を眺めます。











千曲川05.jpg
〔02〕


雪解け水が流れ込んでいるのでしょうか。
そう思ってみると水は冷たく感じるのですが、
真冬の厳しい冷たさを感じることはありません。












千曲川07.jpg
〔03〕


その流れは柔らかな陽射しを映し輝いていました。











飯山42.jpg
〔04〕


何の工夫もなく、
いつもと同じような写真を撮るばかり、
それでも写真を撮ることは楽しいものです。












飯山43.jpg
〔05〕


春を感じながら、
ただ水面を、
橋の上から見ていました。












飯山39.jpg
〔06〕


長い橋を渡り切り、
その橋を記念撮影しました。












飯山37.jpg
〔07〕


ほとんど車も通る事が無く、
橋の上ものんびりとしていました。












飯山40.jpg
〔08〕


橋の撮影も終わったので渡った橋を引き返します。
帰りもまた川の水面を眺め飽きもせず写真を撮りました。












飯山41.jpg
〔09〕


帰り道は同じ水面でも、
映り込んだ空や雲の色を撮りました。
その色合いは春らしい色で、
橋上で少し冷たい風に吹かれても心は暖かくなりました。












飯山45.jpg
〔10〕


再び橋を渡り切る間際に見つけた光景、
それは橋を見上げた視線の先にありました。












飯山44.jpg
〔11〕


自己満足ではありますが。
記憶に留めるべく印象深い写真を撮る事ができました。












飯山46.jpg
〔12〕


千曲川に架かる橋を歩いて渡るのは初めての経験でした。
いつも河岸の車の中から眺めるか車で渡るだけでしたが、
この日歩いて渡るという貴重な体験を得ました。
別れ際にこの橋を惜しみ一枚記念写真を撮りました。



    *



駅から来た道を引き返します。
駅周辺にある寺院を眺めたり、
スーパーを覗いたりしながら線路を渡り、
駅裏へと歩いて行きました。












飯山48.jpg
〔13〕

歩いていると小さな川に出会いました。
川幅狭く勾配の急な川の落差工に落ちる水量多い水、
帯を成すその落ち姿、
そして次から次絵と沸き上がる泡、
どちらも一つの形に留めることはありません。












飯山50.jpg
〔14〕


それは人工的に作られ意図しない水の造形ですが、
常に変化をしながら大きくは姿形を変えない、
その美しい様にしばらく見入りました。












飯山51.jpg
〔15〕


駅に戻るべく跨線橋を渡る途中、
北西に連なる残雪深いこの山並みを振り返り眺めました。
この山の向こう側は私の住む家の方向、
普段眺めている山並みの丁度真裏にいる形になります。
雪が解ければ車で峠を越えることもできますが、
五月の連休明けまでは通行止めで通る事は出来ません。












R0023684.JPG
〔16〕


跨線橋から駅構内を眺めます。
次の列車の発車時間までまだ十分時間がありましたが、
歩く気力を引き出す、
何かしらの予感が湧いてこなかったので駅に戻ります。



    *



出発までまだ時間があったので、
駅の売店で缶ビールとつまみを買い込み、
鞄に詰め込んだ文庫本を読みながら小さな待合室で一杯やりました。
午前中のこの時間に一人缶ビールを飲む私は、
今朝長野から乗った飯山線で見たあの強者と同じ類に入るのかと思いましたが、
一口ビールを喉をくぐらせれば、
そんな思いもすぐに消え失せてしまいます。












飯山53.jpg
〔17〕


この列車一両だけが、
ディーゼルエンジンを止めることなく待機していました。












飯山52.jpg
〔18〕


やがて別の二両編成の列車がやって来ましたが、
すぐに出発することなく停車していました。
やはりこの列車のデザインが好きなので、
この駅でもその車体を写真に撮りました。



    *



今年三月十二の早朝長野県北部を震源とする地震で、
飯山線はこの先の上境駅と森宮原駅間で線路の路床が崩れ落ち線路が宙に浮く被害を受け、
この戸狩野沢温泉駅と十日町駅の間が運休となっていました。
前日の東北地方の大地震の陰で、
この地震による被害などはあまり報道されていませんが、
丁度この飯山線の新潟、長野県境付近でも被災された方もいて、
実際福島県からの避難者を受け入れた上越市でも、
その被災者などを受け入れる避難所が開設されまいた。

飯山線は懸命な復旧作業により約一ヶ月半後の昨日(四月二十九日)に運行再開となりました。
ほぼ一年前にこの飯山線を旅していた事を振り返れば、
線路が宙に浮いてしまった光景をニュースで目にし、
また、運行再開のニュースを耳にして感慨深いものを胸に抱きました。










R0023740.JPG
〔19〕


三度飯山線に乗ります。
千曲川の河岸に沿って飯山線は走ります。

青空と雪の白さの対比、
そして冬枯れ色の山々と雪融けの清浄な川の対比、
車窓を眺めていれば飽きることはありません。













飯山54.jpg
〔20〕


実は戸狩野沢温泉駅の売店で缶ビールを一本だけ買っていました。
この車窓を眺めながら缶ビールを飲むのが何よりの楽しみでしたから。

本当は進行方向右側のお見合いクロスシートを確保したかったのですが、
乗客が少なかったにもかかわらずその席は既に埋まっていて、
座したのはロングシートでしたが、
この車窓に我慢できず缶ビールを開けました。
靴を脱ぎロングシートに胡坐を掻き、
窓の外を眺めながら悠々とビールを飲みました。
天気が良かったのでこの車窓を眺めながらの缶ビールは最高でした。












飯山55.jpg
〔21〕

列車は快調に走り長野県から新潟県に入り、
定刻通りの正午過ぎ、
新潟県三駅目の津南駅に到着しました。
実はこの駅には温泉があります。
途中この駅で温泉に入るのも趣向の一つで、
津南駅に下車することを最初から決めていました。

既に正午を過ぎていましたが、
腹はビールで満たされていたので、
まずは駅にある温泉の湯に浸かりました。
平日の昼食時ということで温泉は貸切状態、
一人悠々と湯に浸かりました。
浴場は駅の三階南向きにあり、
南向きの窓辺で春の日差しを浴びながら湯に浸かれば、
ビールの酔いもあってうっかり寝てしまいそうなほど、
ゆったりと温泉を堪能しました。



    *



こうした写真ブログをやっているにも関わらず、
この温泉に関する写真がこれ一枚しかなく、
今では写真を撮らなかった事を後悔しています。












飯山57.jpg
〔22〕


温泉に浸かった後は、
泡の楽しみ。
それが旅の楽しみ。












飯山56.jpg
〔23〕


駅前の食堂で昼食。
まずは生ビールで乾いた喉を潤します。
時間は午後一時を過ぎていましたが、
客は私以外に一人でここも貸切状態、
だらだらと飲むのも気が引けましたが、
昼の営業は二時までという張り紙を確認して、
生ビールを二杯流し込みました。












飯山58.jpg
〔24〕


煮込みがあるとは思いませんでした。
ビールに合わせるに好都合、
勿論迷うことなく注文しました。











飯山59.jpg
〔25〕


店の中休み時間を気にしながら仕上げにラーメンを注文しました。
特別凝ったラーメンではありませんが、
歳を取る毎にこうした素朴なラーメンが有り難いと感じるようになりました。











飯山60.jpg
〔26〕


私としてはネギ、メンマ、ナルト巻き、
この三つの具があれば、
他の具材は強く要求いたしません。



    *



一人平日の好天に、
列車に乗り気ままな旅先、
昼に良い加減に出来上がりましたので、
今度は千曲川から信濃川に名を変えた川へ、
酔い覚ましへと向かいました。







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cjlewis

そういえば、私も千曲川に架かる橋を
歩いて渡ったことは一度もないです。
クルマでは何回も、おそらく数十回は渡ってるのに、、、
大体、スキーへの行き帰りなので、
橋を渡るときは、いつも期待感や寂しさや、
いろんな思いが心をよぎるので、
あの風景は、深く心に刻み込まれています。
一度、歩いて渡ってみたいなあ〜
by cjlewis (2011-05-01 10:33) 

ベアトラック

食べ物ネタ、珍しいねぇ。
ナルトが乗った昔ながらのラーメン、いいなぁ。
by ベアトラック (2011-05-01 10:39) 

海を渡る

普段何気なく車で通り過ぎているところを歩いて見ると、
思わぬ発見が出来たりします。
最近ブログを始めてから特に思うようになりました。
旅でしか味わえない情景を
by 海を渡る (2011-05-01 11:05) 

海を渡る

すみません、途中で変な所を押してしまったようです。
続きは⇒味わってみたいです。
by 海を渡る (2011-05-01 11:07) 

BPノスタルジックカーショー

おはようございます。

まさにノスタルジックジャーニーです。
自分を取り戻し確認するのは旅ですね。
by BPノスタルジックカーショー (2011-05-02 05:23) 

SILENT

ラーメンのシンプルなもの好きですよ
水の光景いいですね
by SILENT (2011-05-02 15:00) 

mee

旅は人にとって癒しでもあり、過酷でもあるような気がします。
by mee (2011-05-02 18:54) 

zak

温泉あがりビールとあてと。
そして〆に素朴なラーメンを一杯。
粋ですなぁ・・
素敵な寂光さんの一瞬を見た気がします。
by zak (2011-05-05 10:14) 

kuni

リベット、、、、僕も見かけると、面白くて見入ることがあります。
by kuni (2011-05-07 21:58) 

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